【測定対象物の表面状態別】
レーザオートコリメータの測定事例を解説

2023.12.15
対象物の角度や複数の対象物の角度関係を測定できるレーザオートコリメータですが、測定可能かどうかは対象物の表面状態によって変わります。本記事では、レーザオートコリメータの特徴や仕組みの解説から、表面状態別の測定可否を紹介します。

レーザオートコリメータとは

レーザオートコリメータとは、対象物の角度や複数の対象物の角度関係を、レーザ光で測定できる計測機器です。小さな光学部品を精密に測定することや、反射光の角度差を計測することで平行度を測定することも可能です。

レーザオートコリメータの特長としては、対象物へ触れずにリアルタイムで計測できることが挙げられます。また角度を測定する場合、変位センサであると3台分のコストとスペースが必要ですが、レーザオートコリメータであれば1台で測定可能なため低コスト・省スペースを実現できます。

測定原理に関しては、平行光を集光レンズに入射すると、光の入射角度に応じて焦点面上の位置情報に変換されます。レーザオートコリメータはこの測定原理を応用して対象物へ平行レーザビームを照射し、反射光をCMOSイメージセンサー上に集光させることで、対象物の傾斜度が測定できるのです。

オートコリメータについては以下の記事でわかりやすく解説していますので、併せてご覧ください。

上記では、レーザオートコリメータの特徴や、測定の仕組みを解説しました。
次章では、対象物の表面状態に左右される、レーザオートコリメータの測定事例について紹介していきます。

レーザオートコリメータの測定事例【表面状態別】

レーザオートコリメータで測定可能かどうかは、正反射成分と散乱反射成分から成る測定面の表面反射の割合によって決まります。

測定面の正反射成分の割合が大きい場合

表面反射で戻って来た正反射からなるレーザ光は角度情報をもっているため、正反射成分の割合が大きい場合は角度を測定することができます。
例えば、光の吸収が少ない鏡面加工されたアルミの場合、全反射成分が86%、散乱反射成分が15%と、正反射成分の割合が大きくなる際は測定可能です。
このケースであれば、散乱反射成分が45%以下の場合まで測定できます。

測定面の散乱反射成分の割合が大きい場合

測定物がアルミ反射板でも、表面にマット処理や散乱処理が施され散乱反射成分が多い場合は、測定不可能になります。
光の吸収が少ない鏡面加工されたアルミを例にとると、散乱反射成分が77%もある場合は、相対的に正反射成分が少なくなるため計測は不可能です。
前述したように、正反射成分が多い場合は角度情報を含むため測定可能ですが、散乱反射成分が多い場合は角度情報を含まないため測定が困難です。

【画像で解説】測定面の反射別測定可否

以下のように、レーザーポインターの光を対象物に照射し、測定面の反射を白いプラスチック板などに映すことで測定可能かを簡単に判別できます。

この場合、以下の画像のようなレーザ光が見られると、正確に測定できます。

また、以下の画像のようなレーザ光であれば、測定限界となります。

以下の画像のようなレーザ光になると、測定は不可能です。

ここでは、レーザオートコリメータで測定可能・不可能な表面状態を説明しました。
測定可能・不可能な材質については以下の記事で解説していますので、こちらも併せてご覧ください。

 

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今回は、レーザオートコリメータで測定可能・不可能な表面状態を解説しました。
しかしレーザオートコリメータの性能や品質によっても測定可否が変わるため、実際に使用して測定できるか試してみることが重要です。

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