変位計とは?仕組みと用途を紹介!

2023.10.12
物体の移動量を精密に測定することは、機械や機器の製造、ロボット制御など、さまざまな分野で重要な要素です。移動量を測定する場合には、一般的に変位計が使用されます。本記事では、変位計の基本から仕組みと用途まで、詳しく解説します。

変位計とは

変位計は、物体の移動量を精密に測定する機器です。この移動量を「変位」と称し、変位計は「変位センサ」とも呼ばれます。

変位計の測定能力は比較的正確であり、製造業や研究開発の現場での品質管理や機器の動作確認によく使用されます。特に、部品の微細な変形を検出する際や、機器の動きをモニタリングする際に、変位計の高い精度が求められます。

変位計は、主に接触式と非接触式の2つの方式に分けられます。

接触式

接触式変位計は、その名の通り対象物に直接触れて変位を測定する機器です。特に固体のワークの高さや厚み、反りの測定に適しています。この方式の変位計は、ほこりや水、油といった外部環境の影響を受けにくいという大きな利点があります。そのため、厳しい測定環境下でも安定したデータを取得することが可能です。

しかし接触式変位計は、非接触式変位計に比べて、応答速度が遅いという特性があります。また、対象物に直接触れるため、測定物の表面に傷をつけるリスクがあります。この点を考慮し、適切な使用方法や取り扱いを心がけることが重要です。

非接触式

非接触式変位計は、対象物に触れることなく測定を行う機器です。物体へのダメージリスクが低く、さまざまな物体の変位を正確に捉えることができます。非接触式変位計には代表的なものとして、以下4つの種類があります。

・光学式 
光を活用して変位を測定します。固体や金属だけでなく、多くの物体の測定が可能です。応答の速さが特長です。

・渦電流式 
磁界を使用して測定を行います。特に金属の高精度測定に適しています。非接触式の中でも、ほこりや水、油に強いという特性があります。

・超音波式
音波を利用して変位を計測します。光学式と同じく、特定の物体を選ばずに測定が行えます。測定距離が長いことや、測定面が広いことが特徴として挙げられます。

・レーザフォーカス式
レーザを使用して測定する変位計です。光学式や超音波式と同様に、基本的にどのような物体でも測定が可能であり、高精度なデータを得ることができます。

これらの非接触式変位計は、それぞれの特性を活かして、さまざまな場面での測定に利用されています。
下記では非接触式変位計(非接触センサ)の種類や特徴について詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

 

変位計の仕組み

前章でご紹介したように変位計にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的なレーザフォーカス式(レーザ変位計)の仕組みについて解説します。

レーザ変位計は、三角形の原理を基に、ある地点からほかの地点までの距離を測定します。具体的には、投光素子、受光素子、そして測定対象物の3つが一緒になって三角形を形成し、この三角形の形状を利用して、測定対象物までの距離を正確に計算する仕組みです。

この際、光の反射の原理が利用されています。光の反射には「正反射」と「拡散反射」の2種類があります。

正反射は、投光角と受光角が同じ角度となるように配置された光学系を使用し、反射光の正反射成分を受け取ります。一方、拡散反射は、投光ビームを測定面に対して垂直に当て、反射光の拡散反射光を受け取る方式です。

これらの反射の特性を上手く利用することで、レーザ変位計は高精度な距離測定を実現しています。

変位計の用途

変位計は、物体の位置や移動量を精密に測定するための機器として、多岐にわたる業界で利用されています。特に、半導体やフィルムの製造業界では、その精度と信頼性から頻繁に使用されています

変位計の主な用途としては以下が挙げられます。

・基板の反り測定
・鋼板の傾き測定
・シール剤の塗布量測定
・トレイ内のチップの有無確認
・シート材のループ制御
・ロボットアームの位置決め
・透明フィルムの厚み測定
・ガラス基板の2枚送り判別
・液晶ガラスの歪み測定
・露光装置露光ヘッドZ軸制御
・太陽電池基板厚み測定
・コンクリートの亀裂測定
・桁のたわみ測定
・変位と曲げ歪みの測定

さらに、変位計を複数台組み合わせることで、以下の測定が可能です。

・ワークの厚み測定
・段差測定
・傾き測定
・反り測定

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変位計は幅広い用途に対応していますが、角度や傾きの測定には注意が必要です。従来の方法では、角度を正確に測定するためには複数の変位計を使用し、複数点での測定が求められることが多いです。しかしこれは作業スペースを多く取るだけでなく、精度の低下を招くリスクもあります。

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