角度測定を高精度に行うには?
測定方法と機器の種類をご紹介

2023.08.31
精密な角度測定は機械や機器の製造、ロボット制御など、さまざまな分野で重要な要素です。
しかし、高精度な測定を行うには適切な測定器具の選択が欠かせません。
本記事では、角度測定の方法や種類、高精度に測定するためのヒントを紹介します。

角度測定の方法

角度測定は、主に直角度と直角度以外の2つの方法で行われます。

直角度の場合

基準となる平面や直線に対してどれだけ直角であるかを確認し、直角度を測定します。測定方法は大きく分けて2つあります。

1つ目は直角定規と隙間ゲージを使用する方法です。直角定規を押さえながら対象物に当て、そのときの直角定規と対象物の隙間を隙間ゲージで測定します。その隙間が直角度になります。

2つ目は三次元測定機を使う方法です。基準面(定盤)にスタイラスを当ててデータム(基準となる平面、直線)を設定し、測定面(対象物)にもスタイラスを当てて測定します。
この方法なら、定盤に置いた対象物の測定面が垂直でない場合でも正確な測定が可能です。また、円筒や穴・円錐の軸線の直角角度も測定できます。

直角度以外の場合

直角度以外の測定では、ダイヤルゲージと位置決め装置を使用します。斜面の角度を測定する場合、準備として位置決め用ハンドルを備えた機械に測定物を固定し、底面を密着させます。

測定作業としては、ハンドルを用いてダイヤルゲージ測定子を斜面上に接触させ、ゲージ目盛りで0.1mmほど測定子が押された状態を0セットし、高さが高い方へハンドルでダイヤルゲージを移動させます。
この時の横方向移動量と高さの移動量から角度が算出可能です。

角度測定には直角度と直角度以外の2つの方法がありますが、測定機器にもさまざまな種類があります。以下では、接触式と非接触式に分けて詳しく紹介します。

角度測定器の種類

角度測定は精密機械や工事現場、光学機器の製造など、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。それぞれの用途に合わせて適切な角度測定器を選ぶことが必要不可欠です。 角度測定器は大きく分けて以下の4種類あります。

分度器

多くの人に馴染みのある分度器は、一般的に半円形のプラスチックの薄板に180度の目盛りがついたものを指し、手軽に角度を測定できます。目盛りが360度のものや金属の薄板で作られたものもあります。
精度はあまり高くありませんが、基本的な測定には十分です。

プロトラクター

金属製の分度器と竿をワークにあてて角度を測る測定器具です。
デジタル式のプロトラクターでは、角度がデジタルで表示され、任意の角度で0合わせができます。

主に機械や金型の組み立てや測定、配管工事や建築などの工事現場で使用され、高精度な測定が求められる場面で活躍します。

ジャイロスコープエンコーダー

ジャイロ効果を利用して角速度や角度を測定する装置です。
ダイナミックな動きや衝撃・振動が起こる環境でも正確な傾斜測定が可能で、慣性センサとして「航空・航海」「自動車」「ロボット」など幅広い分野で使用されています。

ロータリーエンコーダー

軸の回転角度をアナログまたはデジタル信号として出力する装置です。
ポテンショメータ式や光学式などの方式があり、「工作機械」「自動車」「ロボット」などで使用されます。
ロータリーエンコーダーは主に以下の3種類があります。

・インクリメンタルエンコーダー
回転する軸の角度をデジタル信号として出力し、基準の位置から次の位置までの移動量を検知するタイプのエンコーダーです。
光学式や磁気式などの方式があり、高精度な角度測定に使用されます。

・アブソリュートエンコーダー
軸の回転角度を一意にデジタル値で表現し、「基準点からどのくらい離れた位置にいるか」を検知するタイプのエンコーダーです。
各位置に対して固有のコードパターンを持ち、絶対的な角度情報を提供します。

・レーザエンコーダー
レーザ光の位相変化を検出することで微細な角度の変化を測定し、高精度な角度測定が可能な装置です。ロボット分野、工作機械分野、計測機分野など幅広い分野で高精度な計測・制御が可能です。

これらの角度測定器は、それぞれ特徴と用途が異なります。用途に合わせて適切な測定器を選び、高精度な角度測定を実現しましょう。

角度を高精度に測るには

前章までさまざまな角度測定方法を紹介しましたが、角度を高精度に測定するにはレーザオートコリメータがおすすめです。
他の角度測定器に比べて、非接触で簡単に対象物の角度を高精度で測定できるのがレーザオートコリメータの特長です。

レーザオートコリメータは、反射したレーザの角度で対象物の傾きを直接測定します。 

手動で接触させて測るよりも設置自由度が高く、非接触で角度を測定できるため、ワークの傾きを数値表示させることも可能です。これにより、正確な角度を把握できます。

特に、工作機械や光学機器などの高精度測定が必要な分野では、レーザオートコリメータが大変有用です。対象物に直接接触せずに測定できるため、測定対象に傷をつける心配がありません。

また、高精度な測定結果を得られるため、製品の品質管理や機器の校正などにも適しています。

レーザオートコリメータについて詳しく知りたい方は、下記の記事からさらに詳しい情報をご覧ください。レーザオートコリメータを活用して高精度な角度測定を行い、精密機械や光学機器の性能を最大限に引き出しましょう。

 

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