角度測定機「オートコリメータ」の長所・短所とは?

2024.05.28
オートコリメータは、平行光を利用した角度測定機で、プロトラクターや水平器などの器具を用いた従来の角度測定と比べて、測定精度が高い・測定時間が短いなどの利点があります。
本記事では、そうしたオートコリメータ長所や短所をまとめて解説します。

オートコリメータとは?目視での角度測定との違い

平行光(コリメート光)を人工的に作る装置をコリメータと呼びます。原理的には光源をレンズと通して平行光に整えます。この原理を利用して、照射したコリメート光を基準として、その反射光との差異を測定する装置を「オートコリメータ」 と呼びます。

オートコリメータの工業的な利用価値は、主に精密な角度測定にあります。平行光を言い換えると、直線性がたかく、拡散が抑えられた光の束(ビーム)であるため、それは物体の表面で反射すると効率よく、正確にその反射角を捉えることができます。角度測定において、オートコリメータ以上に正確性、堅牢性、コストパフォーマンスを上回る製品はないと思われます。

対照的に、プロトラクターや水平器などの器具を用いた角度測定の場合、目視で器具の目盛りを読み取ることになるため、繰り返し精度や許容誤差がシビアな測定用途では、データの信頼性を担保できなくなります。

また一方で、変位計を用いて平面の角度測定を行うこともよくありますが、角度測定の専用の測定器であるオートコリメータを用いたほうが、仕事の効率は格段に飛躍します。

 

オートコリメータの長所

作動距離に依存せず測定できる

平行光線の特性上、測定対象物までの距離が変わっても反射角は同じです。そのため、オートコリメータは作動距離によらず測定ができるため、レイアウト自由度が高いという点が長所の1つです。

非接触で角度が測定できる

オートコリメータは光ビームにより非接触で測定を行います。物理的な接触を必要とする他の測定器と違い、測定点は文字通り「点」でよく、複雑な機構を必要としません。また、非接触であることで被測定物が変形しやすい、あるいは、表面が傷つきやすいものでも問題なく正確に測定できるのも長所です。

瞬時に測定できる

オートコリメータは、光のスピードで測定します。無論、それらに加えて、人が認識できるデータへ換算されるまでの時間が加算されますが、目視・手作業による測定に比べると、まさしく光速です。

製品によっては被測定物の複数のポイントを同時に測定することも可能で、複数の光路の角度調整作業が同時に行えるため、大幅な効率化が見込めます。また、連続的に測定が可能なため、オートコリメータをステージに取り付けて、動的かつ連続的に平面度・平行度計測を行い、プロセスの自動化と効率化を実現している成功例をよく見かけます。

こうした特長から、オートコリメータは、大きなものから小さなもの、動的なものから静的なものまで、様々な角度測定に用いられます。

オートコリメータの短所

測定対象物の光学的特性に依存する

オートコリメータは、内部光を測定対象物に照射することで結果を得る仕組みですから、対象物の光の反射や透過の特性により、そのままでは期待した結果を得られないことがあります。簡単な例を挙げますと、乱反射をする物体では、点として反射されないため測定できないか、結果に高い不確実性を含みます。また、厚みのある透明なガラス面の角度測定では、正面と裏面の反射角を捉えてしまい、2点の測定結果を出力します。その場合、どちらの点が正面の角度を指しているのかを機械的に判別できません。

オートコリメータの特性が内部光源に依存する

オートコリメータから出射される光ビームのサイズが問題になることがあります。基本的に円形であることが多いようですが、その円の直径より測定対象物が小さい場合、どこの角度を計測しているのかが判らなくなります。

ビームスポットの大きさは、以前ですと白色電球を用いていたために、数十mmぐらいに絞るのが限界でしたが、近年、半導体レーザーダイオード(LD)を光源にもつオートコリメータが主流となったため、μ単位でスポットサイズを設計できるようになりました。しかし、それでもスポットサイズを可変にすることは非常に困難です。それよりも、目的に合ったスポットサイズで使い分けたほうが、絶対無難です。

また、LDは波長が固定になるため、測定対象物に合わせてオートコリメータの内部光源(波長)を選ぶ必要があります。一般的には、赤色や緑色、青色の可視光範囲で十分ですが、紫外線領域や赤外線領域が必要になることもあります。それにより受光部の特性も合わせてセットしなければならないため、すべての波長に対応できるコリメータを製作することはできません。

オートコリメータならSmartLAC

以上の長所・短所を踏まえたうえで、オートコリメータを導入されたいとお考えの方はぜひ駿河精機のレーザオートコリメータ「Smart LAC」もご検討ください。

駿河精機のレーザオートコリメータ「Smart LAC」は、センサヘッドとIPUの組み合わせが自由で、多波長展開したセンサヘッドのみの入れ替えをしても正確な測定が可能な製品です。

そのため、Smart LACなら工作機械の真直度測定から光学製品の検査まで、幅広い分野で活用できます。

前述の通り、非接触で角度を測定できるため製品を傷つけず計測が可能であり、レーザを当てるだけで測定できるため角度測定にかかる時間を大幅に短縮させることができます。

レーザオートコリメータを用いるメリットをより詳しく知りたい方は、以下の資料もご覧ください。

高精度な角度測定を実現するレーザオートコリメータの3つのメリット

また、Smart LACは豊富なバリエーションがあります。さまざまなモデルや機能を選択でき、用途や要件に合った最適なオートコリメータを選ぶことが可能です。
注文から1週間で納品が可能ですので、短納期も魅力の一つです。

Smart LACの詳細な製品情報を知りたい方は、ぜひお問合せくださいませ。

 

お役立ち資料

高精度な角度測定を実現する
レーザオートコリメータの3つのメリット
機械設計者や光学設計者は角度測定を行う際に、ゲージ・ピックを用いたり、自作の光学測定器を用いたりして目視で測定しています。 しかし、目視による角度測定はデータ化が困難、光学系の内製に伴う専門知識とコストの問題、そして複数点の精密測定の難しさといった課題を抱えています。本資料では、このような角度測定の課題を解決し、高精度な角度測定を実現する方法としてレーザオートコリメータを用いるメリットを3つご紹介します。
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