レーザオートコリメータの波長選定とは?
赤・青・緑・赤外レーザの違いを解説
そのため、測定対象に応じて赤外・緑・青など異なるレーザ波長を使い分けることが重要です。
本記事では、以下について解説します。
・レーザオートコリメータで波長選定が必要な理由
・赤外・赤・緑・青レーザそれぞれの特徴
・測定対象別の適切なレーザの選び方
・適切な波長に対応したレーザオートコリメータのメリット
レーザオートコリメータで波長選定が必要な理由
レーザオートコリメータでは、測定対象物の反射特性に応じて適切なレーザ波長を選定する必要があります。光学部品に施されたコーティングやフィルタは波長ごとに透過率・反射率が異なるため、使用するレーザによって測定精度や安定性が変化します。
レーザオートコリメータとは
レーザオートコリメータとは、レーザ光を用いて対象物の傾きや角度変位を高精度に測定する計測機器です。非接触で測定ができるため、測定対象物を傷つけることなく高精度な角度測定や位置ずれの検出を行えます。
主に光学系や機械系において、部品位置の調整や対象物の姿勢の測定に使用されます。精密な角度測定だけでなく、平行度、光軸、アライメントなどの検査・調整といった幅広い用途でも用いられます。
レーザオートコリメータは、レーザ光の高い直進性とレンズの集光原理を利用して測定を行います。
レーザ光はレンズによって平行光(コリメート光)として照射され、測定対象で反射した後、再びレンズを通ってセンサ上に結像されます。
対象物に傾きがない場合、反射光は入射光と一致した位置に戻ります。一方、対象物が傾いている場合は結像位置が変化するため、そのずれ量から角度や姿勢の変化を測定できます。
安定した測定を行うためには、測定対象から十分な反射光を得る必要があります。そのため、測定対象の反射特性に応じたレーザ波長の選定が重要になります。
オートコリメータの原理や使用用途について以下で詳しく解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
内部リンク:オートコリメータとは?原理や使用用途を解説!
ARコートやフィルタによって反射率が変わるため
光学部品には、反射防止を目的としたARコート(Anti-Reflection Coating)や、特定波長のみを透過・遮断するフィルタが施されている場合があります。
これらのコーティングやフィルタは、特定波長に対して反射率が低くなるよう設計されているため、使用するレーザ波長によっては反射光量が不足し、測定が不安定になることがあります。
例えば、赤色レーザに対して反射率を低減するARコートが施されたレンズでは、一般的な655nmの赤色レーザでは十分な反射光が得られず、安定した測定が難しくなるケースがあります。
また、IRカットフィルタでは赤外光が遮断されるため、測定対象物やアプリケーションによっては測定に適さない場合があります。
このように、光学部品の分光特性によって適切なレーザ波長は異なるため、事前にコーティング仕様や透過特性を確認することが重要です。
波長によって測定安定性が変わるため
レーザ波長は、反射光量だけでなく、測定時の視認性やノイズ耐性にも影響します。
例えば、緑色レーザは人の目で視認しやすいため、光軸調整や位置合わせ作業を行いやすい特徴があります。一方で、赤外レーザは不可視光であるため、目視確認はできませんが、赤外領域向けの光学部品測定では有効です。
また、測定対象によっては波長変更によって受光センサの検出安定性が改善される場合があります。実際の測定現場では、標準的な赤色レーザでは反射光量が不足し、緑色や青色レーザへ変更することで安定測定できるケースもあります。
そのため、レーザオートコリメータでは「どの波長でも同じように測定できる」とは限らず、測定対象や用途に応じた波長選定が重要になります。
【波長別】レーザオートコリメータで使用されるレーザの種類
レーザオートコリメータで使用できるレーザ波長は製品によって異なりますが、駿河精機のレーザオートコリメータ「Smart LAC」では、赤外・赤・青の3種類のレーザ波長に対応しています。
レーザ波長によって視認性や反射特性が異なるため、測定対象物や用途に応じて適切なレーザを選定することが重要です。
赤外レーザ(852nm)
波長が852nmのレーザは赤外レーザに分類されます。赤外レーザは不可視域帯であるため、照射位置を肉眼で確認できない点に注意が必要です。そのため、IRカードなどを用いて目視できるようにして使用する必要があります。
赤外領域向けの光学部品測定や、赤外波長特性をもつ部品測定、ARコート付きの対象物の測定に使用されるケースがあります。
赤色レーザ(655nm)
波長655nmのレーザは、一般的に使用される赤色レーザです。可視光帯であり、扱いやすさと視認性のバランスに優れているため、多くのレーザオートコリメータで標準採用されています。主な測定対象物としては、ミラーや素ガラスなど一般的な光学部品が挙げられます。平面ミラーの角度測定や光軸調整、アライメント用途など幅広い測定に使用されています。
緑色レーザ(520nm)
波長520nmのレーザは緑色レーザです。緑色は人の目が認識しやすい波長帯であるため、赤色レーザと比較して高い視認性を持つことが特徴です。
そのため、位置合わせや光軸調整など、作業者がレーザ位置を目視確認しながら行う用途に適しています。
青色レーザ(405nm)
波長405nmのレーザは青色レーザです。測定対象物の表面に反射防止膜、IRカットフィルタ等があり、赤色のレーザが使用できない場合に使用されます。
測定対象物の分光特性によっては、青色レーザへ変更することで測定安定性を改善できるケースがあります。
このように、レーザオートコリメータでは波長ごとに特徴や適した用途が異なります。そのため、測定対象物のコーティングや反射特性に応じて適切なレーザ波長を選定することが重要です。
次章では、測定対象別のレーザの選び方について解説します。
【測定対象別】レーザの選び方
レーザオートコリメータでは、測定対象の反射特性や用途に応じて適切なレーザ波長を選定することが重要です。特にARコートや光学フィルタが施された部品では、波長によって反射光量や測定安定性が大きく変化する場合があります。
通常のガラス・ミラーを測定する場合
一般的なガラスやミラーの測定では、標準的な赤色レーザ(655nm)が広く使用されます。
赤色レーザは視認性と扱いやすさのバランスが良く、多くの光学部品に対して安定した反射光量を得られるため、レーザオートコリメータの標準仕様として採用されるケースが一般的です。
また、平面ミラーの角度測定や一般的な光軸調整、アライメント用途など、幅広い測定に対応できます。
ARコート付き光学部品を測定する場合
ARコート(反射防止コーティング)が施された光学部品では、コーティング対象波長によって反射率が大きく低下するため、レーザ波長の選定が重要になります。
例えば、赤色領域に最適化されたARコートでは、赤色レーザの反射光量が不足し、測定が不安定になる場合があります。そのような場合は、緑色レーザや青色レーザへ変更することで、安定して測定できるケースがあります。
実際の測定現場では、仕様上は測定可能であっても、コーティングの分光特性によって十分な反射光が得られないことがあります。そのため、事前に対象物の透過率・反射率特性を確認することが重要です。
IRカットフィルタを測定する場合
IRカットフィルタを測定する場合は、赤外レーザの使用可否に注意が必要です。
IRカットフィルタは赤外光を遮断する特性をもつため、赤外レーザをほぼ反射し、測定には有利になります。しかし、IRカットフィルタ越しの測定対象物(CMOSイメージセンサなど)は、測定が難しくなる場合があります。
このように、フィルタ製品では「透過する波長」と「反射する波長」が明確に設計されているため、対象物の分光特性に合わせたレーザ選定が必要です。
視認性を重視する場合
作業時の視認性を重視する場合は、緑色レーザが適しています。
緑色レーザは人の目が最も認識しやすい波長帯に近いため、赤色レーザと比較して明るく見えやすい特徴があります。そのため、光軸調整や位置合わせなど、作業者がレーザ位置を目視確認しながら行う用途に適しています。
一方、赤外レーザは不可視光であるため、IRカードや専用機器を使用しなければレーザ位置を確認できません。測定用途だけでなく、作業性や調整性も考慮してレーザ波長を選定することが重要です。
適切な波長に対応したレーザオートコリメータのメリット
レーザオートコリメータでは、測定対象のコーティングやフィルタ特性によって適切なレーザ波長が異なります。そのため、適切なを使用することで、幅広い光学部品や測定条件へ柔軟に対応できます。
測定対象の幅を広げられる
駿河精機の、赤色・青色・赤外など、測定対象に適した波長を選択できるため、さまざまな光学部品の測定に対応できます。
例えば、一般的なガラスやミラーには赤色レーザ、ARコート付き光学部品には緑色や青色レーザ、赤外領域の光学部品には赤外レーザを使用するなど、対象物に合わせた最適な測定が可能です。
単一波長では測定が難しい部品でも、波長を変更することで安定した反射光を得られる場合があります。
測定条件変更に柔軟対応できる
光学部品の仕様変更やコーティング条件の違いによって、必要なレーザ波長が変わるケースがあります。
複数波長ラインナップを揃えた駿河精機のレーザオートコリメータであれば、適切な波長を選択することで柔軟に対応できますそのため、測定条件の変更が発生しやすい製造現場や多品種測定環境でも運用しやすい点がメリットです。
また、測定時に反射光量が不足した場合でも、別波長のセンサを使用するで測定安定性を改善できるケースがあります。
研究開発用途で有効
研究開発分野では、評価対象となる光学部品やコーティング仕様が頻繁に変化するため、複数波長に対応できる測定環境が求められます。
特にARコートや特殊フィルタの開発では、波長ごとの反射特性を確認しながら測定を行う必要があるため、レーザ波長を柔軟に変更できることが重要です。
駿河精機のを導入することで、試作段階から量産検討まで幅広い評価に対応しやすくなり、測定環境の汎用性向上にもつながります。
このように、レーザオートコリメータでは測定対象物の分光特性に応じて適切なレーザ波長を選定することが重要です。
一般的なレーザオートコリメータは赤のレーザを内蔵していることが多いですが、解説した通り測定対象物によっては測定できません。そのため、適切な波長のを選ぶことが重要です。
駿河精機のレーザオートコリメータ「Smart LAC」なら、製品ラインナップが豊富で、赤外、赤、青の3種類のレーザから選択可能です。そのため、測定対象物の表面に特定波長のARコート付き素子がある場合も測定できます。
また、1週間という短納期での納品が可能なため、すぐに測定していただくことができ、急な測定ニーズが発生した場合も安心です。
「Smart LAC」の詳細を知りたい方は、下記からサービス資料をダウンロードください。

レーザオートコリメータでよくある質問(FAQ)
Q1. レーザオートコリメータではなぜ波長選定が必要ですか?
測定対象物のコーティングやフィルタによって、反射率や透過率が波長ごとに異なるためです。適切な波長を選定しない場合、十分な反射光が得られず、測定が不安定になることがあります。
Q2. 赤色レーザで測定できない場合はありますか?
あります。ARコート付き光学部品や特殊フィルタでは、赤色領域の反射率が低く設計されている場合があり、赤色レーザでは安定測定できないケースがあります。その場合は、緑色・青色・赤外レーザへの変更によって改善できる場合があります。
Q3. 緑色レーザのメリットは何ですか?
緑色レーザは人の目で認識しやすく、視認性に優れている点がメリットです。光軸調整や位置合わせなど、レーザ位置を目視確認しながら行う作業に適しています。
Q4. 赤外レーザは目視できますか?
赤外レーザは不可視光のため、肉眼では確認できません。そのため、IRカードや専用の検出機器を用いてレーザ位置を確認します。
Q5. レーザ波長はどのように選定すればよいですか?
測定対象物の反射率や透過率など、分光特性を確認して選定します。特にARコートやフィルタ付き光学部品では、対象波長によって測定安定性が大きく変わるため、事前確認が重要です。
Q6. 駿河精機のを選ぶメリットはありますか?
測定対象物ごとに最適な波長を選択できるため、幅広い光学部品の測定に対応できます。また、測定条件変更への柔軟な対応や、研究開発用途での運用性向上にもつながります。
お役立ち資料

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