非接触センサの種類と特徴を徹底解説!

2023.10.23
非接触センサを選ぶ際、種類が多く、どれが自社のニーズに合っているのか分からないと感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、非接触センサの特徴を種類別にわかりやすく解説します。用途に合わせて非接触センサを選択する際の参考にしてください。

非接触センサとは

非接触センサは、物体と直接触れずに対象物との間の距離や、障害物の存在を検知する機器です。光や超音波などを利用して、連続的に変化する数値を取得し、音や光、温度などを感知します。

物体の微細な変化もキャッチできるため、マイクロスイッチやサーミスタ、コンデンサマイクなど、インダストリアルIoTの領域でも使用されています。

非接触センサの概要について説明しましたが、次章では種類別に特徴を詳しく解説します。

非接触センサの種類と特徴

非接触センサには多くの種類があります。ここでは代表的な12種を紹介します。

焦電センサ

焦電センサは、赤外線での温度変化を検知する特化型のセンサです。「人感センサ」や「PIR(Passive Infrared Ray)センサ」とも呼ばれます。

赤外線で温度が変化し分極が発生する焦伝効果を利用し、人体や物体から放出される熱を赤外線として捉えるのに役立ちます。

フレネルレンズという白色のドーム状の部品を前面に備えており、周囲の赤外線をセンサの検出部に集める仕組みです。変化を検知するハイパスフィルターのような特性になっており、周囲より温度が高くても動きがなければ反応しません。

防犯用の警報器や人感照明器としての利用が一般的ですが、近年では家電製品やIoT機器にも採用され、利用範囲が拡大しています。

光学式の測距センサ

光学式の測距センサは、光の反射を利用して距離を計測するセンサです。具体的には、センサから光を放射し、その光が物体に当たって反射して戻ってくるまでの時間をもとに、距離を算出します。この方式は、電磁波や超音波を使用することもあります。

センサから対象物となる信号を出力する仕組みのため、安定した測定が可能です。また、金属や樹脂、ガラスといったさまざまな物体を検出できるのも魅力の1つです。さらに、応答時間が短く、高い分解能を持っているため、精密な測定が求められる場面での利用に適しています。

実際の用途としては、コンデンサの高さの判別や、台紙上のシールの有無検出、透明体の有無検出など、多岐にわたります。近年の技術進化に伴い、さらに多様なアプリケーションでの利用が期待されています。

インダクティブセンサ

インダクティブセンサは、相互誘導の原理をもとに動作するセンサで、誘導型近接センサと呼ばれます。

センサコイルの電磁界に金属や導体が接近すると、検出物の表面に渦電流が生じます。この渦電流の発生により、コイルのインダクタンスが変動します。そして、このインダクタンスの変化を検出することで、物体の存在や位置を知ることができるという仕組みです。

インダクティブセンサは金属や導体にのみ反応します。そのため、非導体の物体には反応しない点を理解しておくことが重要です。

一方で、ほこりや塵の影響を受けにくいというメリットがあります。この特性から、ギアの回転数の検出や工作機械の位置決めなど、幅広い用途で利用されています。

静電容量センサ

静電容量センサは、金属や導電性物質とGround間で形成される静電容量の変化を検出するセンサです。この変化は、対象物が接近することで生じる誘電率の変動により引き起こされます。

静電容量センサの大きな特徴は、導体だけでなく絶縁体などの非導体にも反応する点です。しかし、電磁波を使用する他のセンサと比較すると、同じサイズのセンサでも検知距離が短いという特性があります。

主に容器の外側から内容物の存在を検出する際や、タンク内の液面を確認する際に活用されます。これにより、製造ラインやプラントでの作業効率や安全性が向上します。

光電センサ

光電センサは、可視光線や赤外線を投光部から発射し、その光が検出物体に反射することや遮光されることで生じる光量の変化を受光部でキャッチするセンサです。

このセンサの魅力は、ガラスやプラスチック、液体といった多様な物質の検出が可能である点です。また、光学式の測距センサと同様に、応答時間が短く、高い分解能を持っています。

具体的な利用シーンとしては、低反射率のワークの有無検出や、異なる色の識別、さらには長距離からの検出などが挙げられます。製造現場やロボット技術、セキュリティ分野など、幅広い場面で使用されています。

ファイバセンサ

ファイバセンサは、光電センサの進化形とも言えるセンサで、光源に光ファイバを連結しています。この特性により、狭い場所やアクセスが難しい箇所でも検出が可能です。特に高温や低温の環境、油のような液体の中でも使用できるため、故障のリスクが低く長寿命です。

また、ワークを光で検出するため、金属だけでなく、さまざまな物体の測定が可能です。さらに、物体の色の判別も行えます。具体的な利用例としては、微小ワークの検出や、センサヘッドの設置スペースが限られている場所での検出が挙げられます。

レーザセンサ

レーザセンサは、直進性を持つレーザを発光素子として採用しています。反射型、透過型、回帰反射型の3つに分類されており、レーザの特性上、光軸の合わせや検出位置の特定が簡単に行えることが大きな利点です。また、レーザの光が広がらないため、センサの周囲の環境を気にせず、自由に設置できます。

具体的な利用例としては、透明フィルムのロール残量の検出、長距離からの検出によるフープ材の高さ制御が挙げられます。さらに、カメラを内蔵したレーザ変位センサを用いて、部品や部材の高さの判別も行えます。

カラーセンサ

カラーセンサは、光を感知するセンサの一種で、特に色の3原色、すなわち赤色、青色、緑色を検出する能力を持っています。

このセンサは、物体からの反射光をフォトダイオードで受け取り、その光の成分を分析します。物体の色は、赤色、青色、緑色の光成分の比率によって決まるため、この比率を正確に計算することで、物体の色を判別することが可能です。

具体的な使用例としては、金属ワークの色の判別や、容器や包装材の位置決めの際のレジマークの検出などが挙げられます。カラーセンサは製造業や包装業界など、多岐にわたる分野での利用が期待されています。

近接センサ

近接センサは、リミットスイッチやマイクロスイッチといった機械式スイッチに代わるもので、物体が近づいてきたことを感知するための装置です。主に、汎用タイプとアルミ検出タイプの2つの種類があります。

近接センサの大きな特徴として、水や汚れなどの悪環境下でも高い精度で動作する点が挙げられます。また、金属部品やドグといった金属の検出に特に適しています。これは、製造ラインや工場などでの品質管理や位置確認の際に、非常に役立つ特性です。

渦電流式変位センサ

渦電流式変位センサは、高周波磁界を活用して対象物との距離を測定する装置です。

センサヘッド内のコイルに高周波電流を流すことで、高周波磁界を発生させます。この磁界内に測定対象物が存在すると、電磁誘導の原理により、対象物の表面に渦電流が生じます。この渦電流の影響で、センサコイルのインピーダンスが変化し、その変化をもとに距離を計測します。

測定対象物は金属に限られますが、油や水といった外部環境の影響を受けにくいのが大きなメリットです。

使用例は、高温のワークの測定や、加工機のマニピュレータの位置・振れの検出、ATCの切粉噛み込み検出など、多岐にわたります。

超音波センサ

超音波センサは、超音波を活用して物体との距離を測定する装置です。具体的には、センサヘッドから放出される超音波が物体に当たり、その反射波がセンサに戻ってくるまでの時間をもとに、物体までの距離を計算します。

このセンサは、色や物体の材質に影響されず、広範囲の物体を検出できる点が大きな特長です。また、ほこりや塵といった微細な物質の影響も受けにくいため、厳しい環境下でもその性能を発揮します。

超音波センサは、その高い汎用性と精度から、形状が不安定なバネの位置検出や、フィルムやシートのたるみを検出などでよく使用されています。

画像判別センサ

画像判別センサは、カメラを用いて物体の有無や違いを判別する高度なセンサです。カメラ、照明、そしてコントローラを一体化しており、操作性が非常に簡単です。

他のセンサと比較すると機能が豊富であり、一度に複数の検出を行えます。また、物体の向きに左右されることなく正確に検出できる点が特徴です。

主な用途としては、ワークの有無の検出や部品の組み付け状態の確認、さらには形状の判別などがあげられます。また、同時に多点の判別や異なる条件下での多点同時判別も可能です。

ここまで非接触センサの種類と各センサの特徴を説明しましたが、用途によって適切なセンサを選ぶことが重要です。

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非接触センサはさまざまな用途で使用できますが、対象物の距離を測定し角度を求める場合、計算の手間がかかります。しかしレーザオートコリメータを使用することで、計算の手間を削減でき、非接触で効率的な測定が可能です。

レーザオートコリメータは、レーザビームを対象物に照射し、反射したビームをレンズで集光することで、撮像素子上の移動量から角度を簡単に換算できます。特に、0.033秒ごとに連続して測定が可能なため、高分解能な測定が実現できます。

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