変位計で振動を測定するには?

2024.10.23
多くの製造工程や検査工程で、設備の振動が影響を与えることがあります。目視できない微細な振動を光センサで測定することができます。

目視ではブレ、振動量のデータ化が行えず、また、作業員のスキル頼みとなっている場面が多々あります。今回は、非接触かつ簡単に設置できるレーザ測定器を使い、測定対象物の高さ(角度)変位から振動を測定する一例をご紹介いたします。

変位計で駆動する対象物や振動を連続で安定して測定するには?

よくあるお客様の声として、回転または直動移動するワークや機構の変位量を連続で安定して測定したいという要望や、ブレや振動などを測定し、把握しておきたいというニーズがあります。

図1 上下にブレる回転盤

駆動する対象物を連続で安定して測定する場合、以下の4つの注意点があります。

注意点:
1.計測器に測定対象物や装置の振動が伝わらないこと
理想的には物理的に各々が独立していないと、測定器と測定対象が同じ振動でゆれてしまい、測定物の固有振動が測定できなくなります。

2.振動の外的影響の排除
設置環境下での温度変化、エアコンなどから受ける風の影響も考慮する必要があり、簡易的なクリーンブースや、除震台などの活用も検討に値します。

3.精密高速な変位計(非接触型推奨)
レーザ式の変位計では、対象物と非接触で効率よく、かつ高速に変位量を捉えることができます。

4.高速なデータ取得と保存
高速で変位量を測定する場合、対外部機器との通信のための時間が問題となる場面もあります。
アナログ出力を使用し、常時監視およびデータ蓄積することがよく行われています。蓄積されたデータはExcelなどを使用することで、積算移動量や、瞬間的、微視的な移動量から対象物の状態を確認することができます。

変位計で測定した変位量から回転や振動などの周波数を計算する方法は?

駆動する対象物を連続測定した変位量から、データに含まれる周波数を知りたい場合があります。
データに含まれる周波数を計算する方法として、広く用いられているのが、高速フーリエ変換です。それにより、変位量などのデータに含まれる周波数とその割合が判断できます。

図2 上下にブレる回転盤

図3 波形合成とFTT解析

変位計で取得した変位量(例)をグラフで示したのが図3右上の「実際の波形」となります。多くの波形はいくつかの波形が合成された合成波形(波形1+波形2)となっており、そのままでは波形に含まれる周波数を把握することが難しくなります。
そこで、FFT解析を用いて、周波数改正することで、波形に含まれる周波数とそのレベルを把握することが可能です。

なお、連続データを取るときの注意点として、サンプリング周期の選択が挙げられます。
サンプリングする際には、標本化(サンプリング)定理を満足する必要があります。
これは、対象とする最大の周波数成分fmaxがサンプリング周波数fsの半分以下であるときに、完全に復元できるというものです。すなわち、fmax ≦ fs/2となります。

図4 FTT解析と周波数

図4ではサンプリング周波数(Fs)を160kHzとして各周波数をサンプリングした例です。
※水色の線が実際の波形、赤い点がサンプリング点、緑色の線がサンプリング点から誤って復元された波形

周波数が 40kHzの場合、fmax ≦ fs/2を満足しており、正しく周波数の解析が行えています。
上図では先ほどの例と同じく、サンプリング周波数(Fs)を160kHzとして各周波数をサンプリングした例です。
周波数が80kHzを超えていますので、正しく周波数の解析が行えておらず、異なった周波数を導き出しています。
これを折り返し雑音、または、エイリアス(alias)雑音といいます。
これを防ぐためにも、高周波数でのサンプリングまたは事前の準備、想定が必要になります。

以上のように、いくつかの注意点や技術的な勘所はありますが、変位計を用いて、簡易的に振動やブレの測定を行うことができます。

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本記事では、変位計で振動を測定する方法を解説しました。

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