アナログ式変位計はもう古い!?
レーザ変位計への置き換えの利点とは?

2024.08.06
幾何公差等の変位を測定する際、ダイヤル・ケージを使った測定方法は最も一般的ではないでしょうか。しかし、アナログ測定器では事前準備と後処理に手間がかかるという課題があります。本記事では、アナログ測定器からデジタル化を進める利点をご紹介します。

■ アナログ式変位計で測ることの問題点

幾何公差を測定するなどの、精密性と正確性、そして保証を求められるメカ検査に従事したことのある方なら、アナログ式変位計と、一度は格闘したことがあると思います。「ピック・ゲージ」とか「ダイアル・ゲージ」とか呼ばれる、アナログ式の変位計です。「平行だし」と聞けば、まず、アナログのダイアル・ゲージを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

図1. ダイアルゲージは今でも現役です (出典:米国特許庁)。

大きさ、形、精度、等々多種多様な測定対象物に合わせて用意され、それらを固定するマグネットスタンド付きのフレキシブルアームも多種多様に市場に出回っています。
 諸説によれば、19世紀末期ごろに登場したツールだそうでして、皆、古き良き時代から、代々伝わる使いこなすためのコツを伝授され、エンジニアジニアの階段を昇ってゆくわけです。それゆえ、ツールの豊富さだけでなく、使いこなせる技術者もまた会社の宝物なわけです。ですから、デジタル化と言われても、家宝のアナログ変位計を手放せない。

そうかと思えば、一足飛びに、アナログゲージに代わる高価な特注の三次元測定機が、会社の一角を占めるようになり始めています。

今日のコラムでは、それら手放せないダイアル・ゲージの難点と、デジタル化と非接触化についてのお話を進めてゆきます。

 幾何公差測定や平面だし、又は、単なる精密な寸法測定を行うため、かれこれ100年以上の歴史を持つアナログ式ダイアル・ゲージ用いるのが最も手軽で、安価で、なおかつ、使い勝手も研究され尽くした手法です。しかしながら、アナログ・ダイアルゲージを用いた測定方法では、主に次の3点の問題が生じます。

 

1.精度は高いが、再現性が低い(目視や固定不良のための過失誤差)

単純な平行度の測定方法でも、目視での測定となるためどうしても人為的な誤差が生じます。同じ測定対象物を、同じように連続して計測すると、「5回測定後、3回検査基準NGと2回Pass」というような事態が起こります。これは、使い慣れていない新人泣かせです。理由は様々で、固定が完全でない、ゲージ先端を押し付け過ぎ(又は弱すぎ)、測定子の長さが適正でない、等々、測定者の不注意や技量により判定結果が異なる現象が起こりえる可能性があります。

2.測定開始前の設定に手間・時間がかかる(系統/偶然誤差の排除)

系統誤差を出さない測定環境を整えるには、それなりの設備投資だけでなく、多くの測定前準備が絶対条件になります。ゴミやほこりの排除は無論のこと、恒温・恒湿、固定アームの歪み(ダレ)、定盤の水平だし、正しい固定点と測定点の選定、モータ等の可動部の振動、等々、あらゆる統計誤差・偶然誤差を排除してなお、測定環境における特定の歪みやひずみが存在する場合には、それらをオフセット値として測定値に含めないよう配慮が必須です。
また、恒常的に存在する系統誤差もあれば、測定対象物の複雑な形状や可動状態等、特定の測定対象物に寄生する系統誤差を洗い出すことも念頭に置いて、計画的にアナログ・ダイアルゲージからオフセットする値を状況と対象面毎に決めておきます。

3.数値データの記録と分析(後処理の手間は?)

上記1と2の懸念点を全て払拭した後、測定は複数ポイントに対して複数回繰り返し行います。また、測定ポイントの数は、測定対象物の面積に対し統計的に満足できる測定点の数となり、測定面の数が倍数となり、N数回繰り返し測定となります(測定ポイント x 測定面(線)の数 x N回繰り返し)。

それらの測定を根気よく手動でおこない、記録したデータを分析した後、判定を下します。そのため、大きな部品や複雑な形状の部品になればなるほど、結果までの多くの時間を必要とします。

■ 測定のデジタル化は、何が良いのか?

デジタル化の恩恵を最も得られる個所は、上記2の後半から3にかけてです。上記1に関しては、アナログでもデジタルでも、人の手が介入するかぎり間違えは起きます。2の前半の系統誤差の排除(測定環境の確立)を努力する部分に関しては、両者にかかる手間はあまり大差ないかと思います。

・測定の自動化

精密測定に限らずですが、デジタル化のゴールは、工程・手順を、できうるだけ人の手を介在させずに自動化することです。ここで記した、データの収集と分析・判定は最もわかりやすい実例でしょう。デジタル計測器といえば、単にアナログ計がデジタル表示に代わっただけでなく、データ通信が可能という意味も含めます。

上記2の後半で言及した多数のオフセット値が存在する場合でも、データ収集側(PC)にプリセットしておけば、実際の計測時にそのことを気にせず計測に集中できるのも利点です。

また、測定を「点」ではなく、「線」で行えることもデジタル強みです。アナログ・ダイアルゲージでは、測定点毎にアームを移動させデータ記録しますが、デジタルでは連続的に移動させながら値を自動で読み込めるため、測定を「線」でとらえることができ、より密度の高いデータ収集が可能になります。

・非接触レーザ変位計の利点

デジタル化に際して、より作業の精密さと効率化を図るために、非接触型変位計が下記2点において推奨されます。

非接触のため、測定子を置く手間が省け、再現性が高まる

物理的に測定子を測定面に置くことなく、レーザ光線の反射を利用して測定を行うため、「人の手」を省くことができます。これにより測定時間が短縮され、再現性が向上します。また、レーザ光で測定を行うため、測定対象物の変形や損傷を防ぐことができます。これにより、ゴムなどの柔らかい材料を正確に測定できます。

小さな部品を確実にとらえる

レーザ照射の「点」が1㎜以下と小さいため、小さな部品や設計上凸凹させた面を正確にとらえることができます。

 

デジタル化の利点を簡潔に説明させていただきました。一足飛びに高価な特注3次元測定器に頼らずとも、変位計測のデジタル化で従来の苦労が大幅に改善することができます。

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幾何公差の測定も含め、変位測定を高精度に行いたい場合は、ダイアル・ゲージなどを用いたアナログな変位測定方法と比べて、大幅に高精度・高速で測定ができるレーサ変位計の使用がおすすめです。

弊社では、レーザを用いた高精度なレーザ変位計 「Smart LPS 1D」をご提供しています。Smart LPSは、光学原理を用いて測定をおこなう方式のため、小数点以下の細かい変位測定を簡単に行うことができ、従来のアナログ器具を用いた測定方法と比べて高い精度での測定が可能です。

また、レーザ光を用いて測定対象に非接触で測定ができるので測定対象を傷つける心配がなく、複数箇所の測定をする場合でも、変位測定にかかる時間を大幅に短縮できるという点でもメリットがあります。また、Smart LPSは豊富なバリエーションがあります。さまざまなモデルや機能を選択でき、用途や要件に合った最適なレーザ変位計を選ぶことが可能です。注文から1週間で納品が可能ですので、短納期も魅力の一つです。

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