レーザ変位計で厚みを測定する
3つの方法とは?

2024.11.13
物の外寸や厚みを測るとき、真っ先にノギスやマイクロメータ計測器に手が伸びます。筆者も、エンジニアの業務のみならず、子供の頃から慣れ親しんだノギスが自宅の机上にいつも置いてあり、日常でもちょっとした物の長さや厚みを精密に測る際には手放せません。これら安価で便利な精密測定器具も、少し見直してみると、意外と盲目的に「精密!正確!」と使用していることが多々あることに気が付きます。
今回は、「厚みを測る」観点から、それらアナログ計測器の短所のお話と、それら短所を克服するためにレーザ変位計を使用した厚み測定方法についてのお話を進めていきます。

便利で手軽なアナログ計測器・・・精度は使う人次第!?

物の長さを測る行為は、エンジニアリングに限らず日常的に行っていると思われますが、当たり前のように使用しているアナログ物差しでは、計測結果があいまいになり易いことが短所として挙げられます。その不確定性とは、本尺と副尺の目盛りが「ぴったり」合わないことです。
教科書どおりのノギスの測定結果の読み方は、基準線の目盛りが整数部分を示し、副尺の目盛りが小数部分になります。そして、本尺の目盛りと副尺が「ぴったり」合うところの、整数部分と小数部分を足した数値が計測結果となります。

ノギスやマイクロメータの短所

ノギスやマイクロメータの短所として、以下2つが挙げられます。

目盛りの読み取りがあいまい

図1 マイクロメータ

上記の図1のアナログ式のマイクロメータを見ながらさらに詳しく説明します。
(マイクロメータとは、精密なねじ機構を使って、ねじの回転角に変位を置き換えることによって拡大し、精密な「厚み」の測定に用いる測定器です。)
その物差しの不確定さについて、上の図を見てもうお気づきでしょうか?測定物を挟み込んだ際に、基準線と目盛り線がぴったり合いません。基準線が目盛り線の0と1の間にきています。このようなとき、副尺の数値は0mmでしょうか、それとも基準線の太さから推測する「熟練の勘」で数値を言い当てるのでしょうか?あるいは誤差の範囲として、本線に近い目盛り線の値を取る方もいらっしゃるようです。いずれにせよ、不確かであいまいです。

測定対象物が限定的

接触式測定器の使用では、コーティング済みのミラーなどのデリケートな対象物にキズをつけるリスクがあります。また、スポンジやゴム製品など、外圧で変形する対象物の厚みなどに対しては、正確に測定できないとして、見切りをつけたほうが良い場合が多々あるかと思われます。
デジタル表示付きも含む手軽で便利な接触型測定器のリスクは、「人」です。測定結果が測定者の熟練度によって変わる可能性が常に潜んでいます。実験室などの場合は適しているかもしれませんが、合格基準がシビアな生産ラインには使用されることはないでしょう。

レーザ変位計を用いた厚み測定の方法【基礎編】

人的過失誤差の解決策として、レーザ変位計を使った厚み測定の方法を紹介します。
一般的に変位計とは、物体の変位量や移動量を測定する測定器ですが、視野を広げれば、厚みも簡単に測定できます。
ノギスとマイクロメータに比べて、レーザ変位計には2つ長所がります。
1.レーザの反射を利用して距離を測定するため、非接触で測定できます。これにより、対象物へのキズや変形を気にせずに、自然の状態で測定できます。
2.人の手による測定を排除できるために過失誤差を発生させないだけでなく、分解能が1μm以下のレーザ変位計も多くあり、測定精度が格段に上がります。

レーザ変位計を用いた厚み測定の方法【応用編】

レーザ変位計測の応用としては、以下3つの方法があります。

①2回測定の変位量から厚みを算出する

この方法では、基準台に固定した変位計で基準台までの距離L1を測定します。次に、厚みを測定したい対象物を基準台に置き、測定対象物の上面までの距離L2を測定します。測定対象物の厚みは、L1-L2の差分となります(図2)。

図2 厚み=L1-L2

②透明体の2平面の変位量から厚み測定する

ガラスやアクリル板などの透明体を、レーザで計測しますと(図2)、透明体の表面でレーザ光線が拡散反射せずに透過してしまい、基準台までの距離を誤測定する場合があります。そのため、測定対象物を基準台へ直置きせずに、支柱などで浮かせるとそのような誤測定を回避できます。 
さらに上級テクニックとして、透明体の平面はレーザ光を正反射するため、図3のようにレーザ変位計を斜めにして計測すると、レーザ光に対し表面と裏面で2回反射が発生します。変位計1台に2つの反射光を受光することで、それぞれの距離を測定できます。

図3 透明体の鏡面反射を利用した厚み測定

③変位計2台を対向連携させ、厚み測定する

シリコンウエハーなど不透明で表面がデリケートな測定対象物は、非接触測定が好ましいです。こういう物は基準台に直置きすることもありません。このような場合には、変位計2台を使い厚み測定が可能です。セットアップに少し手間が掛かりますが、必要な作業となります。

図4 変位計2台を使う厚み測定

図4のように、変位計2台を平行に向かい合うように設置します。距離Dは、一旦大まかに変位計の動作距離の2倍ぐらいにします。次に、基準となる厚みゲージを1枚用意して、変位計1と2の間に挿入し、その表面までの距離を測定します。この測定により、距離Dの値が、L1とL2、ゲージの厚みTの総和となります。
本測定では、厚みゲージを外して、実際の測定対象物を変位計1と2で挟み込むようにすれば、T=D-(L1+L2)、として対象物の厚み(T)が算出できます。

アナログ計測器の短所を克服したレーザ変位計で厚みを測定しよう

レーザ変位計を使えば、測定のあいまいさを排除できます。また、ノギスやマイクロメータでは測定困難な物を、熟練者の手を借りずに高精度で測定可能になります。その上、測定結果データはPCやPLCで管理するため、データ再利用が容易です。

弊社では、低価格で高精度なレーザ変位計 「Smart LPS 1D」をご提供しています。Smart LPS 1Dは、光学原理を用いて測定するため、小数点以下の細かい変位測定を簡単に行うことができ、アナログ器具を用いた測定方法と比べて高い精度での測定が可能です。
デモ機の貸出も行っておりますので、厚みの測定を試したい方は、お気軽に以下からお問合せください。

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またSmart LPS 1Dは、レーザ光を用いて測定対象に非接触で測定ができるため、測定対象を傷つける心配がありません。複数箇所の測定をする場合でも、変位測定にかかる時間を大幅に短縮できます。

Smart LPS 1Dについて詳しくは、以下の資料をご覧ください。

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