角度測定するなら変位計と
レーザオートコリメータどっちが良い?
変位計とは
変位計とは、対象物がある位置からほかの位置へ移動した際の移動量を測定する機器のことです。
対象物の移動量だけでなく、物体の高さ、厚み、幅といった寸法測定にも使用されます。別名「変位センサ」とも呼ばれています。
変位計は、主に対象物に直接触れて測定する「接触式」と、光や超音波を用いて対象物に触れることなく測定する「非接触式」の2つに分けられます。接触式はほこりや水、油といった外部環境の影響を受けにくいという利点があり、非接触式は対象物に傷などの損傷を与えず正確に変位を捉えることができるというメリットがあります。測定対象物や環境に応じて接触式か、非接触式か選択するようにしましょう。
以下の記事で、変位計の接触式と非接触式の違いや仕組み、用途を詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
レーザオートコリメータとは
レーザオートコリメータとは、レーザ光を使い、対象物の微小な角度や複数の対象物の微小な相対角度を測定できる計測機器のことです。非接触でリアルタイムに測定できることが特長です。
レーザオートコリメータは、主に小さな光学製品の精密な角度測定に使用されます。ほかにも、光軸調整、光学素子のアライメントの検査・調整といった幅広い用途で用いられます。
レーザオートコリメータでの測定は、平行光を集光レンズに入射すると、その入射角度に応じて焦点面上の位置情報に変換されるという原理を応用した仕組みになっています。測定対象物へ平行レーザビームを照射し、その反射光をイメージセンサ上に集光させることで、測定対象物の傾きの測定が可能です。
以下の記事で、オートコリメータの原理や測定方法、使用用途を詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
原理や使用用途を解説!
ここまで変位計とレーザオートコリメータの概要を説明しましたが、次章ではそれぞれの角度測定方法を比較して解説します。
各測定器での角度測定方法
変位計、レーザオートコリメータそれぞれでの角度測定方法は、以下の通りです。
変位計の場合
変位計を用いて角度測定する場合、変位計が3台必要になります。以下のように3台で1点ずつ、計3点を測定し、角度を演算して決定します。
そのため3台分のコストとスペース(140mm×75mm×70mm以上)が必要になり、演算の手間がかかってしまいます。さらに測定対象エリアは30mm×40mm以上であるため、微小なデバイスには不向きです。測定再現度もピッチ30mm、変化量1um=0.002度と低いため注意が必要です。
また、変位計には測定した際に理想直線に対してわずかなズレが生じます。このズレが理想直線に対してどの程度のものなのかをリニアリティ(直線性)誤差と呼びます。リニアリティ誤差が生じる要因として、光学レンズ系、光から電気信号への変換、センサ電気回路系が挙げられますが、変位計3台について
としたとき、以下の計算式が予想される誤差となります。
1台の誤差はわずかでも、3台分となると誤差は大きくなるため、精度が落ちてしまうことが課題です。
レーザオートコリメータの場合
レーザオートコリメータを用いて角度測定する場合、1台で測定できるため、低コスト・省スペースが実現できます。以下のようにレーザを対象物に当てれば瞬時に角度をデータ化できるため、演算の手間もかかりません。
測定対象エリアはΦ1mmであるため、微小ワークも容易に測定可能です。さらに測定再現性も0.0008度と高くなっています。
また、角度測定で予想される誤差の計算式は、光学レンズ系、光から電気信号への変換、センサ電気回路系を
としたとき、誤差は以下の式で表されます。
変位計3台で角度測定する場合は、3台の誤差が含まれますが、レーザオートコリメータの場合は1台の誤差となります。高精度に角度測定を行いたい場合は、レーザオートコリメータを使用するのが良いでしょう。
高精度な角度測定を実現するなら
レーザオートコリメータがおすすめ
前章で解説した変位計とレーザオートコリメータそれぞれでの角度測定を整理すると、以下の表のようになります。
変位計3台でも角度測定は可能ですが、レーザオートコリメータで行う方がメリットが多く、高精度な測定が可能です。そのため、角度測定を行いたい場合は、レーザオートコリメータを検討するのがおすすめです。
レーザオートコリメータで角度測定する利点は、今回解説した点以外にも多数あります。以下の資料でレーザオートコリメータを用いて角度を測定するメリットを紹介していますので、ぜひご覧ください。
お役立ち資料
レーザオートコリメータの3つのメリット