コリメート光とは?ビーム広がりの
測定方法と調整のポイントを解説
コリメート光を生成するには、コリメートレンズなどを用いた精密な光軸調整が必要です。その際、レーザ光がどの程度広がっているかを示す「ビーム広がり角」を測定・数値化することで、調整状態を客観的に評価できます。
一方で、近年はレーザの多様化や要求精度の向上により、従来の経験や勘に頼った調整だけでは対応が難しくなっています。
この記事でわかること
• コリメート光とビーム広がりの関係
• ビーム広がり角の測定方法
• 測定方法ごとの特徴と違い
• 効率的にコリメート光を測定する方法
コリメート光とは?
コリメート光は、レーザ加工や光学測定において高精度な位置決めや測定を実現するために欠かせない光です。しかし、レーザ光はそのままでは広がってしまうため、コリメートレンズによる調整やビーム広がりの評価が重要になります。ここでは、コリメート光の基本的な仕組みや必要性、ビーム広がりとの関係について解説します。
コリメート光の仕組み
コリメート光とは、レーザ光がほぼ平行に進む状態を指します。レーザ光は光源から出射されたままでは徐々に広がるため、そのままでは高精度な加工や測定には適しません。
そこで、コリメートレンズを用いてレーザ光を平行光に近い状態へ調整することで、長距離でもビーム径の変化を抑え、安定した照射や測定が可能になります。
コリメート光が重要な理由
コリメート光の品質は、加工精度や測定精度に大きく影響します。
例えばレーザ加工では、ビームが広がるとエネルギー密度が低下し、加工品質のばらつきや位置ずれの原因になります。また、光学測定では測定誤差が大きくなる可能性があります。
一方で、レーザモジュールには個体差があるため、個々のレーザモジュールに合わせた光軸調整やコリメートレンズの調整が必要です。
光軸調整については以下の記事をご覧ください。
内部リンク:光軸調整ってなに?その検査工程のボトルネックとは?
ビーム広がりとの関係
コリメート光の品質を評価する代表的な指標が「ビーム広がり(ビーム広がり角)」です。
ビーム広がりとは、レーザ光が伝搬するにつれてどの程度拡散するかを表したもので、一般的には光軸に対する角度(ビーム広がり角)で評価されます。

図1のように、コリメートレンズを通過したレーザ光でも完全な平行光にはならず、わずかに広がりながら伝搬します。この広がりを角度で表したものがビーム広がり角です。ビーム広がり角が小さいほど、コリメート光として良好な状態であると判断できます。
次章では、ビーム広がり角の意味や、ビーム広がりが加工・測定へ与える影響について解説します。
ビーム広がりとは?
ビーム広がりとは、レーザ光が伝搬するにつれて光束が徐々に広がる現象です。コリメートレンズによってレーザ光を平行に近い状態へ調整しても、完全な平行光にはならず、わずかに広がりながら進みます。
そのため、コリメート光の品質を評価する際には、レーザ光がどの程度広がるかを定量的に把握することが重要です。ここでは、ビーム広がり角の意味と、ビーム広がりが加工や測定へ与える影響について解説します。
ビーム広がり角とは
ビーム広がり角とは、レーザ光が伝搬する際にどの程度の角度で広がるかを示す指標です。一般的には、光軸に対する広がりの角度で表され、コリメート光の品質を評価する際の重要な指標として用いられます。
ビーム広がり角が小さいほどレーザ光は平行に近く、コリメート光として良好な状態であると判断できます。一方、ビーム広がり角が大きいほどレーザ光は拡散しやすくなり、照射位置やビーム径が変化しやすくなります。
そのため、光軸調整ではビーム広がり角を測定・数値化し、調整状態を客観的に評価することが重要です。
ビーム広がりが大きいと起こる問題
ビーム広がりが大きいと、レーザ光のエネルギー密度が低下し、加工精度や測定精度へ影響を及ぼします。
例えば、レーザ加工ではスポット径が大きくなることで加工品質のばらつきや位置ずれが発生しやすくなります。また、光学測定では測定誤差が大きくなる可能性があります。
さらに、ビーム広がりが大きい状態では、長距離になるほどビーム径の変化が大きくなるため、安定した照射や高精度な光軸調整が難しくなります。
このような問題を防ぐためには、ビーム広がり角を適切に測定し、コリメート光の状態を数値で評価しながら調整することが重要です。
コリメート光の測定方法
コリメート光の品質は、ビーム広がり角を測定することで評価できます。代表的な測定方法には、「異なる2か所でビーム径を測定する方法」と「遠方へビームを照射して測定する方法」の2つがあります。
それぞれ測定精度や必要な設備が異なるため、用途や求められる精度に応じて適切な方法を選択することが重要です。

方法①ビーム径を異なる2か所で測定する
コリメート光の径を測定するビームプロファイラを、光軸上の異なる2か所の位置でビーム径を測定します(図2)。

調整後、それぞれの位置で測定したビーム径がほぼ同じであれば、レーザ光はコリメートされていると判断できます。そのため、レンズを微調整しながらビーム径が一致する状態を目指します。
また、この測定結果からビーム広がり角を算出することで、調整状態を数値で評価できます。感覚に頼らず調整できるため、再現性の高い光軸調整が可能になります。
メリット
・高精度にビーム広がり角を算出できる
・任意の位置でのビーム径を予測できる
・数値による品質管理が可能
デメリット
・プロファイラを何度も移動する必要がある
・高精度な位置決めが必要
・調整完了まで時間がかかる
異なる2か所で測定したビーム径からは、ビーム広がり角を近似的に算出できます。一般的には、以下の計算式が用いられます。

ビーム広がり角を数値化することで、コリメート光の調整状態を客観的に評価できます。また、測定した2点以外の位置におけるビーム径も予測できるため、光学設計や評価にも活用できます。
メリット・デメリット
この測定方法のメリットは、測定位置に応じて変化するビーム径を高精度に測定できることです。一方デメリットとして、プロファイラの2点間往復はコリメート光の調整が完了するまで続くことが挙げられます。これには、正確な位置決め技術を必要とし、コリメート光の要求精度によっては、固定位置の往復に関わる取り付け作業だけでも数十分を要することもあります。
方法②遠方にビームを照射してビーム径を測定する
遠方へビームを照射して測定する方法は、スクリーンや測定器にレーザ光を照射し、ビーム径を確認しながらコリメートレンズを調整する方法です。この時の照射距離は、一概に決められませんが、測定室内で理に適う距離となります(図3)。

ちなみに、測定方法2における広がり角の計算式は、ISOで規定されているとおり、以下の式を使います。

反射地点のビーム径が、最小、かつ、一定の状態になるようにコリメートレンズを調節します。
メリット・デメリット
この方法のメリットは、比較的簡単な機材の投資コストではじめられ、コリメートレンズを調節しながら広がり角を0度に近づけることができることです。しかしデメリットとして、計測設備の設置に数mの長い距離が必要となり、高い精度を求めるためには、ビーム光の照射距離を正確に測定する技術も必要になることが挙げられます。
それぞれの測定方法にはメリット・デメリットがあり、求められる精度や測定環境に応じて使い分けることが重要です。一方で、高精度かつ効率的な測定が求められる現場では、専用測定器を活用するケースも増えています。
高精度に測定する方法
コリメート光の測定精度を向上させるには、ビーム広がり角を正確かつ効率的に測定できる環境を整えることが重要です。
従来の測定方法では、ビームプロファイラの移動や照射距離の確保など、多くの調整作業が必要になります。また、近年はレーザの多波長化やビーム形状の多様化に加え、光軸調整に求められる精度も高まっているため、測定作業の効率化と品質の両立が求められています。
こうした課題を解決する方法として、ビーム位置やビーム径、ビーム広がり角などを1台で測定できる専用測定器の活用が有効です。
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