レーザ光の光軸調整とは?
測定器の入れ替えを減らして工程を簡略化する方法を解説
特に、「コリメート調整」、「ビーム角度調整」、「ビーム位置調整」を順に行う現場では、複数の測定器を使い分けるほど人的誤差・段取り工数が増え、歩留まり要求に追いつきにくくなります。
この記事では、光軸調整について次をわかりやすく整理します。
・光軸調整で何を合わせるのか(3つの調整項目)
・なぜ測定器の入れ替えが課題になるのか(現場で起きる落とし穴)
・入れ替えを減らして工程を簡略化する考え方と、検討手順
「測定器の入れ替えが多くて時間がかかる」「調整の再現性を上げたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
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✓ 結論(先にここだけ読めばOK)
・光軸調整は①コリメート(平行度)②ビーム角度③ビーム位置を基準に合わせる工程で、従来は測定器を入れ替えながら順に調整します。
・課題は「調整そのもの」よりも、測定器の入れ替えで発生する段取り工数と人的誤差(再現性低下)です。
・工程を簡略化するには、入れ替えを減らす測定設計(同時測定/統合)を検討し、複雑系ほど“往復調整”を前提に手戻りを潰すことが重要です。
・測定器統合(例: Smart ProCo )を使うと、入れ替えと専用ソフト開発の負担を減らし、調整工数・再現性の改善につながります。
光軸調整とは何を合わせる工程?
光軸調整は、光学モジュールが「基準に対して正しい方向・位置」でレーザ光を出射できるようにするための調整です。
レーザダイオード(LD)+コリメートレンズのような基本構成では、目的は次の3つに整理できます。
光軸調整の基礎や検査工程のボトルネックについては、以下の記事をご覧ください。
一般的な光軸調整方法(3ステップ)
例として、レーザダイオード(LD)とコリメートレンズを組み合わせる、単純な光源モジュールの組立に関わる調整の工程を考えます。
光源モジュールの調整目的は、基準に対して垂直かつ位置ずれがないコリメートな(平行光)ビーム光を出射させることです。そのため、従来の光軸調整では下記の手順と専用の測定器が必要になります(表 1)(図 1)。
次に、各工程を簡単に図で説明します。
①コリメート光の調整
②出射ビーム角度の調整
③出射ビーム位置の調整
最後に、オートコリメータをビームプロファイラに取り換えて、ビームの位置を確認します。基準位置からずれている場合、光源とレンズを平行移動させることで、出射ビーム角度が変化せず出射ビーム位置を調整できます(図 4)。
なぜ測定器の入れ替えが課題になるのか?
一見すると、順序どおりに各調整を一回ずつ進めれば組立が完了します。しかし実際の現場では、モジュールの光軸調整だけではなく、測定器の入れ替えが工程の間に挟まることで、次の問題が起きやすくなります。
・入れ替えのたびに作業が止まり、タクトが伸びる
・治具セットや位置決めの微差が人的誤差になり、再現性が落ちる
・厳しい調整ほど、入れ替え時のズレが効いて手戻りが増える
このような煩雑な計測器入れ替え工程を改善するために、調整対象ビームをスプレッドし、ビーム角度とビーム位置を同時に測定する方法があります(図 5)。
これにより、ビーム角度とビーム位置の調整は大幅に楽になり、調整時間も短縮できますが、設備ごとにセンサのレイアウト設計が必要になります。
さらに後工程をより簡略化するためには、オートコリメータとビームプロファイラを統合した専用ソフトウェアも必要になり、製品の調整工数は削減できても、設備の開発工数・コストが増えてしまいます。
測定器の入れ替えを減らして工程を簡略化する方法は?
この記事の例は比較的単純な光軸調整ですが、より複雑な光学システムの場合、各調整が他の調整とのトレードオフ関係になることが多く、単純に各工程を順番にこなしていけば調整が完了するわけではありません。各工程を往復しながらバランスを図る必要に迫られることもしばしばあります。
そこで現実的な改善アプローチは、次の考え方です。
・入れ替えを前提に頑張るのではなく、入れ替え回数を構造的に減らす
・広がり角と角度と位置を同時に見る設計にする
・複雑系ほど、往復調整に耐える計測一貫性(再セットのズレを減らす)を優先する
言い換えると、「光軸調整に必要な測定機能を、ポータブルな一つの箱にまとめらないか?」という発想が、工程簡略化の近道になります。
工程簡略化の検討手順(4ステップ)
現場で検討しやすい順序で切り分けるのがおすすめです。
1.現状の入れ替え回数・手戻り要因を棚卸しする(どこで止まる/ズレるか)
2.同時測定できる項目(角度+位置など)を洗い出す
3.入れ替え削減案の比較(同時測定レイアウト vs 統合測定器)
4.往復調整が多い箇所から優先導入し、タクト/再現性の効果を確認する
ポイントとしては、複雑な光学系ほど、後戻りが多い工程から入れ替え削減の効果が出やすくなります。
検討チェックリスト
入れ替え工程がボトルネックになっている場合は、上から順に確認すると原因を切り分けやすくなります。
1)現状把握(ボトルネック特定)
☐ 入れ替え回数(1台あたり/1日あたり)を数えた
☐ 入れ替えにかかる時間(平均/最大)を測った
☐ 入れ替え後の再セットでズレが出る箇所を特定した
☐ 往復調整(戻り工程)の頻度が高い箇所を洗い出した
2)改善方針(入れ替え削減の設計)
☐ 角度と位置など、同時に測りたい項目を整理した
☐ 同時測定(ビームスプレッド等)のレイアウト設計工数を見積もった
☐ 専用ソフト開発が必要か(必要なら負担)を整理した
☐ 統合測定器(複合センサ)で置き換え可能か検討した
3)導入判断(効果検証)
☐ タクト短縮の見込み(入れ替え削減分)を試算した
☐ 人的誤差の低減(再現性向上)を評価できる指標を決めた
☐ 既存機器個別導入と、統合機器導入の総コストを比較した
チェック項目を確認した後は、「入れ替え工数がタクトを押し上げているか」「入れ替えによる再セット誤差が歩留まりに影響しているか」を判断します。
影響が大きい場合は、同時測定や測定器統合など“入れ替えを減らす設計”を優先して検討するのが効果的です。
逆に影響が小さい場合は、現状の調整手順を維持しつつ、往復工程が多い箇所だけ改善する方が合理的です。
まとめ(3行)
・光軸調整は①コリメート②角度③位置を合わせる工程で、従来は測定器を入れ替えて進めます。
・現場のボトルネックは入れ替え工数と人的誤差で、厳しい歩留まり要求ほど影響が大きくなります。
・工程簡略化には、同時測定や統合測定器で“入れ替えを減らす設計”を優先し、往復調整が多い工程から改善するのが効果的です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 光軸調整で、現場が一番つらいポイントはどこですか?
A. 調整そのものよりも、測定器の入れ替えに伴う段取り時間と、再セット時の微小なズレ(人的誤差)が積み重なって手戻りが増える点がボトルネックになりやすいです。
Q2. なぜ複雑な光学システムほど“入れ替え削減”の効果が大きいのですか?
A. 部品点数や調整箇所が増えると、ある項目を調整すると別の項目がズレることが起きやすくなります。たとえば角度を合わせると位置が動く、といった相互影響です。その結果、調整を何度も往復する必要があり、測定器の入れ替え回数も増えるため、入れ替え削減の効果が大きくなります。
Q3. 同時測定(角度+位置)で簡略化する方法の注意点は?
A. センサ配置など設備レイアウト設計が必要になり、場合によっては専用ソフト開発も必要になります。調整工数は減っても設備開発工数が増える点をセットで評価することが重要です。
Q4. “統合測定器”にすると何がラクになりますか?
A. 入れ替え作業そのものと、入れ替えに伴う再セット誤差が減りやすい点です。往復調整が多い工程ほど、効果が出やすくなります。
光軸調整が1台で完了するSmart ProCo(スマートプロコ)
前述したように、光軸調整に必要な機能がすべてそろっている統合測定器を導入することで、測定器の入れ替えやそれに伴うシステム構築の手間を省くことができます。
駿河精機がご提供するSmart ProCoは、 オートコリメータとビームプロファイラを一体にしたマルチセンサヘッドです。
※オートコリメータやコリメート光の基礎については、こちらの記事もご参照ください。
内部リンク:ビーム広がりとは?コリメート光を簡単に計測する方法を解説
このポータブルな計測器により、調整工数を大幅に削減できると共に、光学調整初心者でも簡単に調整ができるよう解析ソフトウェアにも様々な工夫が盛り込まれています。
また、各機能の計測器を個別に揃える導入コストとランニングコストを比較してもSmart ProCoがお得です。
光軸調整時の時間・コスト削減と信頼性・再現性向上には、Smart ProCoが最適です。
Smart ProCoについて詳しくは以下資料をご覧ください。
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