光軸調整の方法とは?
測定器の入れ替えをなくし簡略化!
近年、レーザ装置の組立調整工程では、従来どおりの測定器を使いこなすだけでは、現場が立ち行かなくなりました。その要因は様々ですが、簡略すると、現場の対応力を超える歩留まり要求が日常化してきたからです。今回は、そのようなブラック業務を画期的に改善する方法を解説します。
一般的な光軸調整方法
例として、レーザダイオード(LD)とコリメートレンズを組み合わせる、単純な光源モジュールの組立に関わる調整の工程を考えてみます。
光源モジュールの調整目的は、基準に対して垂直かつ位置ずれがないコリメートな(平行光)ビーム光を出射させることです。従って、光軸調整では下記の手順と専用の測定器が必要になります(表 1)(図 1)。
各工程を簡単に図で説明します。
①コリメート光の調整
波面センサを使い、レンズからの出射ビームがコリメート光になるよう波面センサの出力値を見ながら、光源とレンズの距離を調整します(図 2)。
②出射ビーム角度の調整
続いて、波面センサをオートコリメータに取り換えて、ビーム角度が基準値以下になるように光源のXYを調整します(図 3)。
③出射ビーム位置の調整
最後に、オートコリメータをビームプロファイラに取り換えて、ビームの位置を確認します。基準位置からずれている場合、光源とレンズを平行移動させることで、出射ビーム角度が変化せず出射ビーム位置を調整できます(図 4)。
光軸調整については、以下の記事も併せてご覧ください。

その検査工程のボトルネックとは?
光軸調整のための測定器の入れ替えが課題
一見すると、順序どおりに各調整を一回ずつ進めれば組立が完了します。しかし実際には、モジュールの光軸調整だけではなく、各測定器の入れ替え作業がはいります。調整精度の厳しさに比例して、測定器の入れ替え作業時に発生する人的誤差をなくす仕組みの構築に、多大な時間と不屈の精神が必要です。
このような煩雑な計測器入れ替え工程を改善するために、調整対象ビームをスプレッドし、ビーム角度とビーム位置を同時に測定する方法があります(図 5)。
これにより、ビーム角度とビーム位置の調整は大幅に楽になり、調整時間も短縮できますが、設備ごとにセンサのレイアウト設計が必要になります。
さらに後工程をより簡略化するためには、オートコリメータとビームプロファイラを統合した専用ソフトウェアを作らなければなりません。すると当然、製品の調整工数は削減できても、設備の開発工数・コストが増えてしまいます。
光軸調整のための測定器の入れ替えをなくして簡略化
ここでの例は簡単な光軸調整システムですので、従来の調整方法で成り立つように解説しましたが、より複雑な光学システムの場合、各調整は他の調整とのトレードオフ関係になる場合が多く、単純に各工程を順番にこなしていけば調整が完了するわけではありません。各工程を往復しながらバランスを図る必要に迫られることもしばしばあります。
光学エンジニアに要求される能力とは、全体的にバランスの取れた光学計測システムを早く正確に構築することと、一部の限られた熟練技術者以外でも所定の光学調整が行えるように、各工程の簡略化を図ることに尽きると思われます。
そこで計測器の入れ替え作業をなくすことができれば、光軸調整の簡略化が可能です。
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このポータブルな総合計測器により、調整工数を大幅に削減できると共に、光学調整初心者でも簡単に調整ができるよう解析ソフトウェアにも様々な工夫が盛り込まれています。
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