半導体製造・後工程における
レーザ微細加工とは?
距離管理の課題とレーザ変位計の活用
本記事では、半導体製造・後工程におけるレーザ微細加工の概要や最新動向を解説するとともに、レーザ微細加工における距離管理の課題と、レーザ変位計を活用した測定方法について紹介します。
半導体製造・後工程における微細加工とは?
半導体製造・後工程では、複数の加工技術を組み合わせて高密度実装を実現しています。代表的な加工には、バンプ形成、TSV(シリコン貫通電極)、フォトリソグラフィ、エッチング、レーザ微細加工があります。近年はAI半導体や3D積層技術の普及により、特に高精度なレーザ微細加工の重要性が高まっています。
半導体後工程で用いられる主な微細加工
バンプ(突起電極)形成
ICチップの表面にある外部接続用の電極(アルミパッドなど)の上に、「バンプ」と呼ばれる微小な突起状の金属電極を作る技術です。前工程を終えたシリコンウエハに対して行われる、後工程(実装・パッケージング工程)の最も重要な基板技術の一つです。
最近ではバンプすら使わず、銅の電極同士を直接くっつけるハイブリッドボンディングも実用化されつつあります。
TSV(Through Silicon Via:シリコン貫通電極)
半導体チップ(シリコンウエハ)を垂直に貫通する微細な穴を開け、そこに銅などの導電体を埋め込む加工技術です。この極小の穴により、複数のチップを縦に積み重ねて直接繋ぐことが可能になり、超高速で通信させるための核心技術となっています。
フォトリソグラフィ
前工程と目的が異なり、回路をつくるというより、完成したチップをほかのチップと接続・保護するための配線形成になります。パッケージが大型化し500㎜~600㎜角の大型ガラスパネル基板に一発で微細な回路を焼き付ける露光装置の導入が進んでいます。
エッチング
フォトリソグラフィで作ったレジストの保護膜をガイドにして、不要な部分を削り取る(腐食させる)工程です。レジストで覆われていないむき出しの部分だけを削り、配線や溝、穴をつくる技術です。
AI用GPUの隣に必ず搭載されるHBMは12層や16層も垂直に積み重ねており、超高精度ドライエッチング技術が使われています。
レーザ微細加工
ウエハのパッケージングや基板実装の際に高出力レーザを用いてμm~nm単位のビア形成(穴をあける)、レーザダイシング(切り出し)グルービング(溝彫り)などを行う技術です。
ビア形成は複数層にもなった基板やチップを縦方向に接続するための微小な穴(ビア)をあける工程のことです。
レーザダイシングはパッケージ化されたウエハを個々のチップに切り離す工程です。ブレード(刃)ではなくレーザを使用することで欠けを抑え、狭い幅で高品質に切断が可能となります。
グルービングはウエハの厚みの途中または裏面から狙った深さまで精密に溝を彫る技術のことです。AI半導体メモリやスマホ用チップは紙のように薄く、ブレードで切断すると粉々になってしまいます。厚いうちに深い溝を彫ることで欠けの防止や削りクズ(デブリ)がでません。
その他、ダイボンダー(チップを運ぶ装置)を使わずに、レーザでチップを直接基板上の所定位置へ精密に落下・搭載・接続するレーザトランスファーも開発されています。
ただし、レーザ微細加工において、レーザヘッドと加工対象(ワーク)との適切な距離を一定に保つことが品質を保つ重要なファクターとなります。
なぜ半導体製造・後工程でレーザが選ばれるのか?
半導体製造・後工程では、微細で高精度な加工が求められるため、材料へのダメージを抑えながら加工できるレーザが広く採用されています。レーザは単に微細な加工ができるだけでなく、熱影響を抑えた加工や透明材料の内部加工、非接触での材料転写など、光の物理現象を利用したさまざまな加工が可能です。
ここでは、半導体製造・後工程でレーザが活用される代表的なメカニズムを紹介します。
熱によるダメージがない「非熱(アブレーション)現象」
従来のレーザ加工は光の熱で材料を「溶かして削る」ものでした。しかし、半導体製造工程で同じような加工を行うと、チップや周囲の樹脂が熱で歪んだり溶けたりしてしまいます。
最先端の後工程では、パルス幅(出力している時間の長さ)がピコ秒(1兆分の1秒)~フェムト秒(1000兆分の1秒)という超短パルスレーザが使用されています。
物質内で熱(格子振動)が隣の原子に伝わるには、数ピコ秒以上の時間がかかり、フェムト秒レーザは熱が伝わるよりも遥かに速い一瞬で、原子や分子の結合を直接引きちぎります。結合を切られた原子や分子は音速を超えるスピードで飛散し、加工された境界線の外側は冷たいままとなります。
熱に非常に弱い微細な半導体回路においてはこの現象が有効的に働きます。
多光子吸収
次世代AI半導体パッケージの主役である「ガラス」やパワー半導体で使われるSiC(シリコンカーバイド)は本来なら光を透過させてしまう素材ですが、レーザの出力を極限まで高めると通常の物理法則を超えたユニークな現象が起こります。
超短パルスで超高密度に集中的に照射することで、複数同時に光子を強制的に吸収させることができます。この多光子吸収により、狙った深さの内部だけにエネルギーを吸収させ、変質・破壊、つまりステルスダイシングやガラス内ビア形成させることが可能になります。
光誘起前方転写(LIFT:Laser-Induced Forward Transfer)
LIFT パルスエネルギーを利用し、物質をある基板から別のターゲット基板へと高精度に転写・印刷する技術です。非接触でインクを飛ばすため、凹凸のある立体的な基板や半導体チップが載っている段差の上にも断線させることなく直接配線を描画できます。リペア技術としても利用されており、製造途中の回路の一部に断線が見つかった場合、LIFTを用いてその局所へインクを転写することで回路を瞬時に修復します。
半導体やディスプレイ製造ラインにおいて歩留まりを劇的に向上させるツールとして非常に重要視されています。
レーザ微細加工における距離(変位量)課題とは?
エネルギー密度のバラつき
焦点深度が非常に狭くなり、数μmの距離のズレがレーザエネルギー密度を劇的に低下させ、加工品質に直結します。距離がずれることにより、切断幅が変わったり、目的の深さまで掘れなかったりする加工バラつきへとつながります。
反りや厚みムラへの対応ができない
ワークとの距離を把握できていない場合、半導体ウエハや基板のゆがみに対して追従できず、均一な微細加工ができません。いくらステージがまっすぐでもワーク自体の高低差があることでヘッドとの距離が変わり、均一微細加工を維持できません。
関連コラム:半導体製造工程におけるウエハ反り測定とは?発生原因とレーザオートコリメータの 活用方法(リンク)
深さ方向へのパワー減衰
ビア加工の際に、適正距離が保てていないことにより、レーザ焦点から外れてしまい、底部までエネルギーが届かないことがあります。
接触リスク
ワークとレーザヘッドとのワーキングディスタンスが短くなる場合もあります。適切な距離を把握できていないことにより、接触事故や加工時の飛散物により汚染・損傷させるリスクが高まります。
レーザ微細加工課題に対するレーザ変位計の活用方法
上記リスクを回避するためにはレーザ変位計による距離(変位量)測定が有効です。
ワーク(加工対象)に一切触れることなく、μm~nm単位で高さ・距離を高精度かつ高速に測定することが可能です。
多くの製造現場で使用されているレーザ変位計はインライン対応が可能でリアルタイムに検査が可能です。応答速度が速く、対象物を移動させながら連続的な測定が可能です。また、多様な材質・形状への対応が可能で、測定モードの切り替えなどを行うことで、金属~フィルム~樹脂などの測定ができます。
特にレーザ微細加工時は、焦点位置(Z軸)のリアルタイム補正が可能で、加工ヘッド直前または同軸上にレーザ変位計を配置することでワーク表面のZ軸高さを高速サンプリングします。リアルタイムフィードバッグすることで常に最適な焦点スポットとエネルギー密度を維持し最適な微細加工を実現できます。
駿河精機のレーザ変位計のメリット
レーザ微細加工では、加工品質を維持するためにレーザヘッドとワークとの距離を高精度かつリアルタイムに測定し、焦点位置を安定して維持することが重要です。
駿河精機のレーザ変位計「Smart LPS 1D」は、このようなレーザ微細加工における距離管理に活用できます。
「Smart LPS 1D」は、三角測量方式を採用し、繰り返し再現性0.13~0.25μmの高精度測定を実現しています。また、高ダイナミックレンジにより、設定変更を最小限に抑えながら、さまざまな材質や表面状態のワークを安定して測定できます。
さらに、広いワーキングディスタンスや使いやすいアプリケーションソフトウェアを備えており、レーザ微細加工設備への組み込みや測定条件の設定も容易です。高精度な測定性能と導入しやすさを両立していることも特長の一つです。
レーザ微細加工における具体的な設置方法や測定方法については、お気軽にお問い合わせください。
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Q&A
Q. 半導体製造・後工程の微細加工とは何ですか?
A. 半導体製造・後工程における微細加工とは、バンプ形成、TSV、フォトリソグラフィ、エッチング、レーザ微細加工などを用いて、高密度実装や高性能パッケージを実現するための加工技術です。
Q. なぜ半導体製造・後工程でレーザ微細加工が利用されるのですか?
A. レーザ微細加工は、非接触で高精度な加工ができ、熱影響を抑えられることが特長です。さらに、非熱(アブレーション)加工、多光子吸収、光誘起前方転写(LIFT)などの光学現象を活用できるため、最先端の半導体製造で広く利用されています。
Q. レーザ微細加工では、なぜ距離管理が重要なのですか?
A. レーザヘッドと加工対象との適切な距離を保てないことにより、加工のバラつきが起こり、歩留まり低下を招きます。
Q. レーザ変位計はレーザ微細加工にどのように活用されますか?
A. 加工ヘッド付近にレーザ変位計を設置し、加工対象の高さ(Z軸)をリアルタイムに測定します。その測定結果をフィードバックすることで焦点位置を最適に維持し、安定した加工品質を実現できます。
Q. 駿河精機のレーザ変位計「Smart LPS 1D」の特長は何ですか?
A. Smart LPS 1Dは、高精度な繰り返し再現性、高ダイナミックレンジ、広いワーキングディスタンスを備えたレーザ変位計です。さまざまなワークに対応し、レーザ微細加工における距離管理や焦点位置の安定化に活用できます。低コストも実現しています。
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高精度変位計 Smart LPS 1D
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