鏡面と非鏡面における変位計と
レーザオートコリメータの使い分け

2024.01.31
角度測定を行う場合、主に変位計かレーザオートコリメータが使用されますが、測定対象物によって各測定器を使い分ける必要があります。本記事では、測定対象物が非鏡面の場合と鏡面の場合に分けて、それぞれの場合での変位計とレーザオートコリメータの使い分けを解説します。

変位計とは

変位計とは、ワークの高さや厚み、距離を測定するものです。「変位センサ」とも呼ばれます。
主に接触式と、光学式(レーザ)、過電流式、超音波式といった非接触式の2種類があります。

使用用途は、段差判別、厚み測定、高さ測定、反り・歪み測定、たるみ測定、ポジショニング、重なり検出、形状・外径検査などです。
メリットとしては、物体を選ばず測定可能であることや、微小物体の測定もできることが挙げられます。また、長距離測定も可能です。

変位計について詳しくは以下をご覧ください。

 

レーザオートコリメータとは

レーザオートコリメータとは、1点で瞬間的に角度変位を測定できる計測機器を指します。高分解能で測定ビームを可変できることが特長です。

主な使用用途としては、端面の平行度測定、直角度の測定、回転角の測定、光学素子のアライメント、光軸調整、運動体の再現性観測などが挙げられます。
また、レーザオートコリメータは角度を直接測定しているため、測定距離が変化しても測定結果が変わりません。そのため、上下運動する駆動体のピッチング・ヨーイングの測定も可能です。

オートコリメータについて詳しくは以下をご覧ください。

ここまで変位計とレーザオートコリメータの概要を説明しましたが、主に測定対象物が鏡面であるか、非鏡面であるかによってそれぞれの測定器を使い分けます。次章からは、測定対象物が非鏡面である場合と鏡面である場合に分けて、変位計とレーザオートコリメータの使い分けを解説します。

角度測定での変位計とレーザオートコリメータの使い分け
【非鏡面の場合】

変位計

変位計で非鏡面の角度を測定する場合、3台で3点を測定し、その高さで角度を計算します。

変位計での詳しい角度測定方法は以下の記事をご覧ください。

変位計が3台必要になるため、複数台置けるスペースがある場合に使用できます。具体的には、約160mm×75mm×70mm以上の設置スペースが必要です。

また、照射可能な面積が約30mm×40mm以上など、測定対象エリア(ワーク)が複数点照射できるほど大きい場合は変位計で測定できます。変位計を使用して角度を測定したい場合、測定ワークが小さすぎず照射面積が十分とれるか確認しなければなりません。

レーザオートコリメータ

レーザオートコリメータで非鏡面の角度を測定する場合、ワーク上にミラーを置いてレーザをあて、測定する必要があります。レーザオートコリメータは、レーザをあて反射で戻ってきた光の角度情報をもとに測定しているため、散乱反射し、正反射成分が少ない非鏡面はレーザオートコリメータのみでは測定できないためです。

測定対象物が非鏡面の場合は、レーザオートコリメータの場合ミラーの設置といった対策が必要であることを忘れないようにしましょう。

角度測定での変位計とレーザオートコリメータの使い分け
【鏡面の場合】

変位計

変位計で鏡面の角度を測定する場合、前述した測定対象物が非鏡面の場合と同じ方法で測定できます。

レーザオートコリメータ

レーザオートコリメータで鏡面の角度を測定する場合、レーザを測定対象物にあてると測定できます。

変位計で測定する場合は3台必要ですが、レーザオートコリメータは1台で測定できるため、低コスト・省スペースが実現可能です。

また、照射に必要な面積はΦ1mmであるため、微小ワークも容易に測定できます。さらに測定再現性も0.0008度と高くなっています。

そのため、測定対象物が鏡面である場合は、変位計よりもレーザオートコリメータを使用する方がメリットが大きいと言えます。

鏡面の角度を測定するならレーザオートコリメータがおすすめ

今回は、角度測定における変位計とレーザオートコリメータの使い分けを解説しました。
各測定機器の使い分けを表にまとめると、以下のようになります。

測定対象物の表面状態が非鏡面の場合は、設置スペースや測定対象物の照射面積が必要にはなりますが、変位計であれば測定器のみで測定可能です。一方測定対象物の表面状態が鏡面である場合は、一台で測定できるなどメリットが大きいレーザオートコリメータを使用するのがおすすめです。

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