ビューポート越しのウエハ反り測定とは?
半導体装置でプロセス中に
モニタリングする方法
CVDやPVDなどの成膜装置、アニール装置では、プロセスの進行とともにウエハの反りが変化します。しかし、チャンバー内部は真空・高温などの環境となるため、センサを内部に設置してプロセス中のウエハ反りを測定することは容易ではありません。
そこで活用できるのが、ガラス窓(ビューポート)越しに装置外部から測定する方法です。
本記事では、半導体製造装置におけるプロセス中のウエハ反り測定の課題と、レーザオートコリメータを活用してビューポート越しにウエハ反りを測定・モニタリングする方法について解説します。
【この記事でわかること】
・プロセス中のウエハ反り測定が難しい理由
・ガラス窓(ビューポート)越しにウエハ反りを測定する際の課題
・レーザオートコリメータを活用したウエハ反り測定・モニタリングの方法
なぜプロセス中のウエハ反り測定は難しい?

半導体製造装置のビューポート越し測定とは、真空チャンバーなどに取り付けられたガラス窓(ビューポート)を通して、装置の外側からウエハなど内部の対象物の状態を光学的に測定する手法です。
プロセス中にもウエハの反りは変化する
ウエハの反りは、成膜時の膜応力や熱処理時の温度変化によって、プロセスの進行とともに変化していきます。反り量を工程の前後だけで確認していては、プロセスの途中で何が起きているのかを見逃してしまいます。
チャンバー内部へのセンサ設置が難しい
CVD・PVDなどの成膜装置やアニール装置のチャンバー内部は真空・高温、あるいは腐食性ガスが飛び交う環境です。この中にセンサを常設すれば断線や腐食のリスクを抱え込みますし、メンテナンスのたびにチャンバーを開けて調整するというのも現実的ではありません。
「プロセス中の温度の影響などによるウエハ反りの状態確認が必要だが、良い確認方法が見つからない」という声は、まさにこうした背景から出てくるものだと考えられます。
反り量の変化に気づかないまま工程を進めてしまうと、露光時のフォーカスずれや、後工程での接合不良につながりかねません。
ビューポート越しのウエハ反り測定では何が課題になる?
チャンバーに備え付けられたビューポート(ガラス窓)越しに外部から測定すればよいのでは、と考えるのは自然な発想ですが、ガラス1枚を挟むだけで話はそう単純ではなくなります。
ガラス面とウエハ面の反射光が重なる
実際にSiCウエハをビューポート越しに測定すると、ガラスの表面・裏面からの反射と、ウエハ自体からの反射が同時に観測されます。しかも両者は反射率が大きく異なるため、単純に測定するとどちらか一方の反射が飽和してしまい、正しく捉えられません。
ビューポートのたわみは測定に影響する?
また、真空引きによってビューポート自体がわずかに撓む(たわむ)のではないか、という点です。一般的なビューポート条件を想定したシミュレーションでは、実用的な入射角の範囲において、たわみによる角度のズレやビーム径の変化は生じないことが確認されています。
つまりビューポート越し測定を実現するには、ガラス面と対象物という反射率の異なる2つの反射をどう切り分けるかが主な論点であり、窓自体のわずかな変形は実用上測定精度に影響しない、と捉えられます。
レーザオートコリメータでウエハ反りを測定する方法
駿河精機のレーザオートコリメータ「Smart LAC」は、こうしたビューポート越し測定の課題に対応する形で、CVD・PVDなどの成膜装置やアニール装置のプロセスモニタリングに適していると考えられます。
装置外部からウエハの角度を測定する
オートコリメータはコリメート光(平行光)を用いて角度を測定する原理のため、対象物までの作動距離が変化しても測定値がほとんど影響を受けません。この特性により、ビューポートの外側、装置から離れた位置に設置しても、ウエハの傾き・反りの挙動を高精度に捉えることができます。
自動調光機能でガラス面からの反射の影響を抑える
ガラス面からの反射については、Smart LACの自動調光機能が、反射率の高いウエハ面での反射に露光条件を最適化することで、結果的にガラス面からの反射が写り込みにくくなります。ガラス面とウエハ面とでは反射率が大きく異なるため、この差を利用した形です。ただし、パターン付きウエハなど場所によって反射率が変わる対象では、ガラス面の反射が完全に写り込まなくなるとは限らない点には留意が必要です。
複数点測定でプロセス中のウエハ反りをモニタリング
ウエハの反り量そのものを測定する場合は、LAC単体で1点の傾きを見るだけでなく、光路をプリズムなどの光学部品で折り曲げてスキャンする方法が使われます。プリズムだけを駆動させることで、駆動機構自体の誤差(ステージのピッチングやヨーイングの影響)を抑えながら、省スペースに測定できます。
反りのように面全体のうねりを捉えたい場合、レーザ変位計では複数のセンサを配置するか、走査ステージで対象物をスキャンする必要があり、センサの位置ズレや振動・空気の揺らぎの影響を受けやすいという弱点があります。
マルチスポットで複数点を同時測定
マルチスポット対応の画像処理ユニット「HPU-1000」を組み合わせた「Smart LAC H410シリーズ」であれば、分岐アダプタを介して単一の光学系から多点のレーザを同時出射し、各光点間の相対角までそのまま測定できます。ビューポートという限られた光学アクセス経路を増やすことなく複数点の傾きを一度に取得でき、角度から演算するため作動距離の変化にも強く、初期校正の手間を抑えられる点も、複数センサを個別に調整する変位計方式に対して優位な部分です。
CVD・PVD・アニール装置のプロセスモニタリングに活用
プロセス中のウエハ反り測定には、真空・高温環境でセンサを内蔵できないという制約と、ビューポート越し測定特有の光学的な壁(反射率の異なる2つの反射の切り分け)という二重のハードルがあります。マルチスポット測定に対応したSmart LAC H410シリーズは、この両方に対応できるレーザオートコリメータです。
ウエハ反り測定に関するよくある質問
・ビューポート越し測定とは何ですか?
⇒真空チャンバーなどに取り付けられたガラス窓(ビューポート)を通して、装置の外側から内部の対象物の状態を光学的に測定する手法です。
・プロセス中にウエハの反りを測定する必要があるのはなぜですか?
⇒反り量は温度変化などによってプロセス中も変化するため、工程前後の確認だけでは途中の状態変化を見逃してしまうからです。
・なぜセンサをチャンバー内部に常設できないのですか?
⇒真空・高温・腐食性ガスといった環境下では、センサ自体の断線や腐食のリスクが高く、メンテナンス性の面でも現実的ではないためです。
・ビューポート越しに測定する際、ガラス面の反射はどう処理されるのですか?
⇒ガラス面とウエハ面は反射率が大きく異なるため、反射率の高いウエハ面に露光条件を最適化する自動調光機能を使うことで、ガラス面からの反射が結果的に写り込みにくくなります。ただし反射率が場所によって変わる対象では、完全に消えるとは限りません。
・真空引きでビューポートが変形して測定誤差が出ないのですか?
⇒一般的なビューポート条件を想定したシミュレーションでは、実用的な入射角の範囲であれば、変形(たわみ)による角度のズレやビーム径の変化は生じないことが確認されています。
・レーザ変位計ではなくSmart LAC H410シリーズを選ぶ理由は何ですか?
⇒ガラス面の影響を抑えてウエハ本来の反射光だけを捉えやすい点に加え、分岐アダプタと画像処理ユニット「HPU-1000」を組み合わせれば単一の光学系(1つのビューポート)から複数点測定し、光点間の相対角まで測定できるため、変位計方式のように複数センサを個別配置・調整する手間がかからない点です。
ビューポート越しのウエハ反り測定ならSmart LAC
CVD・PVDなどの成膜装置やアニール装置では、プロセス中にもウエハの反りが変化します。しかし、チャンバー内部は真空・高温などの環境となるため、センサを内部に設置して継続的に測定することは容易ではありません。
駿河精機のレーザオートコリメータ「Smart LAC」は、ビューポート(チャンバー窓)の外側からウエハの角度を測定できます。チャンバー内部にセンサを設置することなく、プロセス中のウエハの状態を測定・モニタリングできる点が特長です。
また、マルチスポット測定に対応したSmart LAC H410シリーズを活用することで、限られた光学アクセス経路から複数点の角度情報を取得し、ウエハ反りの変化を捉えることができます。
CVD・PVDなどの成膜装置やアニール装置における、ビューポート越しのウエハ反り測定をご検討の方は、Smart LACの製品資料や関連事例をご覧ください。
なお、ウエハ反りが発生する原因や、レーザ変位計・静電容量式センサなどを含めた一般的な測定方法については、姉妹記事「半導体製造工程におけるウエハ反り測定とは?」で詳しく解説しています。
▶ ウエハ反りの原因・一般的な測定方法について詳しくはこちら
半導体製造工程におけるウエハ反り測定とは?発生原因とレーザオートコリメータの活用方法
▶ CVD/PVD成膜装置におけるウエハプロセスモニタリング事例はこちら
CVD、PVDなどの成膜装置やアニール装置のプロセス中のウエハ状態監視
製品資料


