半導体製造装置でウエハ反りを
測定するには?オートコリメータを
斜め方向から設置する方法

2026.09.29
半導体製造装置内でウエハの真上にオートコリメータを設置できない場合でも、側面のビューポートなどを利用し、斜め方向からウエハの角度・反りを測定できる可能性があります。
ただし、斜め方向から測定した値は、真上から測定した値とそのまま一致するわけではありません。設置角度などの条件に応じて、測定値を換算する必要があります。
半導体製造装置では、チャンバー上部にガス配管や電極、シャワーヘッドなどが配置され、ウエハの真上にセンサを設置するスペースを確保できないケースがあります。
本記事では、このような狭小スペースを想定し、レーザオートコリメータを斜め方向から設置してウエハ反りを測定する方法と、測定値のズレを補正する考え方、設置時の注意点について解説します。

【この記事でわかること】
・半導体製造装置でオートコリメータを真上に設置できないケースがある理由
・斜め方向からウエハの角度を測定する方法と、そこで生じる測定値のズレの考え方
・斜め設置を検討する際に確認すべき設置スペース・のぞき窓サイズの注意点

ウエハ反り測定でオートコリメータを真上に設置できない理由

ウエハ真上のスペースが他の部材で占有されているケースがある

プラズマCVD(PECVD)装置では、反応ガスを分散供給するシャワーヘッドが上部電極を兼ね、ウエハを載せる下部電極(ペデスタル)と対向する形で、ウエハの真上に配置される構造が一般的です。RIEなどの容量結合プラズマ(CCP)方式のドライエッチング装置でも、ウエハは給電される側の電極上に置かれ、これと対向する電極が配置される平行平板構造が基本となっています。
こうした真空装置(成膜装置やRIE等)を想定した構成例として、チャンバー上部にガス配管や上部電極があり、ウエハ真上にオートコリメータを設置するスペースを確保しづらいケースが挙げられています。こうした構成では、真上からレーザーを入射させる光路そのものを確保できません。

側面のビューポートを使えば光路を確保できる可能性がある

一方で、チャンバー側面などにガラス窓(ビューポート)が設けられている装置もあります。真上が塞がっていても、側面のビューポートを使って斜め方向からウエハにレーザーを入射させることができれば、装置構造を変更せずに角度測定の光路を確保できる可能性があります。
ただし、ウエハに対して斜めからレーザーを入射させると、真上から測定した場合とは異なる値が得られます。真上から見た角度(真値)と、斜め方向から見た測定値とでは座標系がずれているため、単純には一致しません。

オートコリメータでないといけない理由

狭い真空チャンバー内では、変位計を測定位置まで配置するためのスペースが確保できません。さらに、変位計は基本的に測定面へ正対して設置する必要があるため、装置構造物を避けて斜め方向から測定することは困難です。その点、オートコリメータはチャンバー外部から測定できるうえ、斜め方向からでも高精度な角度計測が可能であり、限られた設置空間の測定に適しています。

斜め方向からウエハの角度を測定するにはどうすればよいか

作動距離の影響を受けにくいオートコリメータの原理を活かす

駿河精機のレーザオートコリメータ「Smart LAC」は、コリメート光(平行光)を用いて角度を測定する原理のため、対象物までの作動距離が変化しても測定値がほとんど影響を受けません。この特性により、ウエハ中心から離れた斜め位置にLACを設置しても、角度情報を捉えることができます。
▶記事はこちら:オートコリメータとは?原理や使用用途を解説!

設置スペース/想定角度・位置での測定を検証

チャンバー上部にスペースがなく、側面のビューポート越しにある角度の斜め方向からウエハの角度変化を測定する構成を検証しました。垂直方向に設置したLACで真値(Tx_垂直、Ty_垂直)を測定する一方、斜め方向に2台のLAC(投光用・受光用)をウエハ中心付近から想定位置に設置し、ウエハを傾けながら、斜め方向からの測定値(Tx_斜め、Ty_斜め)を取得しました。
その結果、斜め方向からの測定値は、ウエハの角度変化をそのままの数値では捉えられませんでした。真上から見た角度と斜めから見た角度は、座標系の違いにより単純な比例関係にはならないため、補正が必要になります。

斜め方向からの測定値は、換算式でどこまで真値に近づくのか

換算値は真値との許容誤差で一致

斜め方向からの測定値(Tx_斜め、Ty_斜め)を所定の数式で補正し、換算値(α、β)としてウエハの角度を算出したところ、垂直方向から測定した真値との誤差は約数%にとどまりました。ある指定条件下ではありますが、斜め方向からの測定と換算式による補正を組み合わせることで、実用上十分な精度でウエハの角度・反りをモニタリングできる可能性を確認できた結果です。

換算式は設置条件ごとに導き出す必要がある

換算式は、斜め方向から取得したTx・Tyの測定値を、ウエハを真上から見た場合の角度へ変換するためのものです。LACの設置角度や位置などによって座標系が変わるため、装置の光学レイアウトに応じて個別に導出する必要があります。H410-175シリーズの仕様では、測定距離300mm程度における角度測定範囲は±0.50度です。装置ごとに設置角度・距離の条件は異なるため、具体的な導入を検討する際は個別の条件を踏まえた検証をする必要があります。

斜め設置で注意すべき設置スペース・のぞき窓サイズ

シャワーヘッドとウエハ間に必要な高さ

斜め方向からLACを設置する場合、実際の装置レイアウトでは2つの制約に注意が必要です。1つ目は、シャワーヘッドとウエハの間の高さです。設置角度が10度程度の場合、レーザーがウエハまで届くためには、シャワーヘッドとウエハの間に最低でも15mm程度の高さが必要になります。これより低いと、斜めから入射したレーザーがウエハ面まで到達できません。

のぞき窓(ビューポート)に必要な大きさ

2つ目は、のぞき窓(ビューポート)の大きさです。LACの受光窓のサイズ(18mm程度)に対して、のぞき窓がこれより小さいと、反射光が受光窓まで届かず、測定可能な範囲が狭くなってしまいます。斜め設置を検討する際は、装置上部のスペースだけでなく、のぞき窓の口径についても事前に確認しておくことが望ましいといえます。斜め設置を検討する際の確認項目と、今回の検証条件・目安は以下のとおりです。

LACの設置角度:約10度
設置角度によって必要な光路が変わる

シャワーヘッドとウエハ間の高さ:約15mm以上
レーザーがウエハ面まで到達できる高さを確保する

LACの受光窓:約18mm
ビューポートの口径によって測定可能範囲が制限される場合がある

測定値:換算が必要
斜め方向の測定値をそのまま真上から見た角度として扱わない

▶ビューポート越し測定に関するお困りごと資料はこちら
半導体製造工程の ガラス窓(ビューポート)越し測定に関する 困りごとを解決します!

そのほか、斜め設置の片側はSmart LACでなくとも光源があれば問題ありません。半導体製造装置に限らず、その他の狭小スペースにも使用できる設置例となります。

▶事例ページでもご紹介しています。
ウエハ外観検査中の検査不良回避

ウエハ反り測定に関するよくある質問

・チャンバー上部にオートコリメータを設置するスペースがない場合、どうすればよいですか?
⇒側面などにビューポート(ガラス窓)があれば、そこを利用して斜め方向からウエハにレーザーを入射させることで、角度測定の光路を確保できる可能性があります。

・斜め方向から測定した値は、そのままウエハの角度として使えますか?
⇒原則として、そのまま真上から見た角度として扱うことはできません。斜めから見た測定値は真上から見た角度と座標系が異なるため、そのままでは一致せず、所定の数式による補正が必要です。

・斜め設置の際、装置側で確認しておくべきポイントは何ですか?
⇒シャワーヘッドとウエハ間の高さと、のぞき窓の大きさの2点です。

・ビューポート越しの測定について、他に注意点はありますか?
⇒ガラス面とウエハ面の反射光の切り分けについては、姉妹記事「ビューポート越しのウエハ反り測定とは?」で解説しています。

狭小スペースのウエハ反り測定ならSmart LAC

シャワーヘッド型のCVD装置のように、ウエハ真上にガス供給部や上部電極が配置される構成では、センサの設置スペースを確保しづらいケースがあります。しかし、側面などにビューポートがあれば、斜め方向からの測定と換算式による補正を組み合わせることで、ウエハの角度・反りをモニタリングできる可能性があります。
駿河精機のレーザオートコリメータ「Smart LAC」は、作動距離の変化に影響を受けにくいオートコリメータの原理を活かし、装置内の限られた設置スペース・光学アクセス経路の中でもウエハの角度測定に対応します。
チャンバー上部の設置スペースが確保できずウエハ反り測定を諦めていた方は、Smart LACの製品資料や関連事例をご覧ください。
設置条件(角度・距離、のぞき窓サイズ等)に応じた具体的な換算方法のご相談も承っております。
なお、ビューポート越し測定におけるガラス面反射の切り分けについては、姉妹記事「ビューポート越しのウエハ反り測定とは?」で詳しく解説しています。

▶ ビューポート越しのウエハ反り測定について詳しくはこちら
ビューポート越しのウエハ反り測定とは?半導体装置でプロセス中にモニタリングする方法

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